糖尿病の薬物療法に特化した認定薬剤師制度をスタート 日本くすりと糖尿病学会
2015.08.18
日本くすりと糖尿病学会は、糖尿病療養指導の中で「薬物療法」に特化した認定薬剤師制度をスタートさせる。「准認定薬剤師」と「認定薬剤師」で構成され、准認定薬剤師を取得してから2年以上継続すれば認定薬剤師の受験資格を得られる。
オール薬剤師の認定制度 CDEJ、CDELとの差別化をはかる
糖尿病療養指導全般についての知識と技能を有する医療従事者を認定する資格として、日本糖尿病療養指導士(CDEJ)および地域糖尿病療養指導士(CDEL)がある。高度で幅広い専門知識をもち、薬剤師、看護師、栄養士などの医療スタッフが、チームで糖尿病患者の自己管理を支援するための資格となっている。 一方で、DPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬などが登場し、経口血糖降下薬は7種類になり、糖尿病の薬物療法はいっそう複雑化している。そこで同学会は、糖尿病の薬物療法に十分な知識と技能をもつ薬剤師を養成するため、同学会は「糖尿病薬物療法認定薬剤師」制度を立ち上げることにした。 新たな認定制度では、基礎薬学・医療薬学の研究者や教育者までも含めた薬剤師の認定制度を視野に入れている。薬物療法に特化した認定制度とすることにより、療養指導全般に詳しいCDEJ、CDELとの差別化を明確にしたい考えだ。 具体的には「准認定薬剤師」と「認定薬剤師」で構成され、准認定薬剤師を取得してから2年以上継続すれば認定薬剤師の受験資格を得られる。認定薬剤師、准認定薬剤師は5年ごとの更新制。同学会や関連学会への参加、学会発表、自験例や活動実態を積み重ね、所定の単位を取得する必要がある。 入門編の准認定薬剤師の認定資格として、▽日本国の薬剤師免許を有している、▽薬剤師歴5年以上、申請時で2年以上の同学会会員、▽同学会が示す単位基準の修得単位が、直近2年間で30単位以上、▽前記単位でCDEJ、CDEL、日本医療薬学会認定薬剤師、同薬物療法専門薬剤師、日本薬剤師会生涯学習支援システムレベル5以上、薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師あるいは日本臨床薬理学会認定薬剤師のいずれかを取得している場合は、申請時の直近2年間で20単位以上――を満たす必要がある。 また、認定薬剤師は、糖尿病の薬物療法に十分な知識と技能を用い、質の高い医療や教育、研究を行う薬剤師と位置づけている。認定資格としては、▽同学会の准認定薬剤師として2年以上継続して会員である、▽同学会が示す単位基準の修得単位が受験年の直近2年間で30単位以上、▽同学会で筆頭発表者として1回以上の学会発表がある、▽直近5年間の自験例10例以上または糖尿病に関連した原著論文3報以上――を満たし、認定試験に合格する必要がある。 今後、まず准認定薬剤師の申請を10月31日に締め切り、書類審査、同学会理事会の承認を経て、来年4月1日に先行して認定をスタートさせる。 認定薬剤師については、准認定薬剤師が受験資格を得られる2018年5月に申請を締め切り、9月の学術大会開催中に認定試験を実施し、19年4月に認定を開始する予定となっている。 2013年に施行された改正医療法において糖尿病は、医療計画制度の根幹となる「5疾病・5事業および在宅医療」の1疾病として取り上げられ、その指針では、「糖尿病の予防・治療には、患者自身による生活習慣の自己管理に加えて、内科、眼科、小児科、産科、歯科等の各診療科が、糖尿病の知識を有する管理栄養士、薬剤師、保健師、看護師等の専門職種と連携して実施する医療サービスが必要となる」と明記されている。 複雑化する薬物療法における薬剤師の期待は高まっており、同学会は「今後は教育・研修体制の強化をはかり、認定薬剤師・准認定薬剤師のレベル保持に努める」としている。 一般社団法人 日本くすりと糖尿病学会[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]