サノフィ 基礎インスリン製剤「Toujeo」を承認申請 低血糖発現率が低下
2014.08.01
サノフィは、「ランタス」の有効成分インスリン グラルギン(遺伝子組換え)をベースとした、基礎インスリン製剤「Toujeo」(HOE901-U300)を、7月29日付で厚労省に承認申請したと発表した。Toujeoは、ランタスよりも平坦かつ持続的な血中濃度と血糖降下作用を示す基礎インスリン製剤で、ランタスの後継品と位置付けられるとみられる。
Toujeoはインスリン グラルギンをベースとした新規の基礎インスリン製剤。臨床試験では、▽ランタスと同等の血糖コントロール、▽夜間低血糖および1日(24時間)の低血糖の発現率が一貫して低く、体重増加が小さい――ことが確認されており、ランタスよりも平坦かつ持続的な血中濃度と血糖降下作用の推移を示す製剤となる。また、Toujeoはランタスよりも有効成分の濃度が3倍のため、同単位を注射する際の注射液量は3分の1になる。
基礎インスリン製剤「Toujeo」の第3相試験結果
血糖コントロールは非劣性で、夜間低血糖の発現率は低下
サノフィは6月に、「Toujeo」(インスリングラルギン[遺伝子組換え]注射剤、300U/mL)」が、1型および2型糖尿病患者において、「ランタス」(インスリングラルギン[遺伝子組換え]注射剤、100U/mL)」と比較して、同等の血糖コントロールを達成し、夜間低血糖の発現率が低かったことを示すEDITION JP 1およびJP 2試験の結果を発表した。
血糖コントロール不良の日本人1型糖尿病患者を対象に行われたEDITION JP 1試験(n=243)では、6ヵ月の試験期間で、Toujeoはランタスと比較してHbA1cの低下量は非劣性で、夜間低血糖の発現率はより低いことが確認された。
重症または血糖値70mg/dL以下の夜間低血糖を1回以上発現した患者数の割合は、Toujeoの方がランタスより低かった(それぞれ68.9% vs. 81.0%;相対リスク[RR]0.85[95%CI:0.73~0.99])。
夜間低血糖発現のリスク低下は、特にインスリン用量の調節期間中に顕著であることが判明。夜間低血糖を起こした患者数の割合は、Toujeoはランタスより29%少なかった(43.4% vs. 61.2%;RR 0.71[95%信頼区間:0.56~0.91])。
さらに、基礎インスリンおよび経口血糖降下薬の投与を受けても十分な血糖コントロールが得られない日本人2型糖尿病患者が対象のEDITION JP 2試験(n=241)においても、夜間低血糖発現率は低下した。6か月の試験期間中に1回以上の夜間低血糖を起こした患者数の割合が38%低下した(それぞれ28.3% vs. 45.8%;RR 0.62[95%CI:0.44~0.88])。
6ヵ月後に、夜間および1日(24時間)の低血糖発現件数(曝露人年当たり)も、Toujeoでは55%のリスク低下が認められた(2.18 vs. 4.98;RR 0.45[95%信頼区間:0.21~0.96])。
Toujeoは、使い捨てタイプのキット製剤が販売される予定で、既存のインスリンキット製剤(ランタス注ソロスター等)と投与量の設定方法等は同様だ。Toujeoは、現時点では世界のいずれの地域でも承認されていない。
サノフィ
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]