糖尿病の関連遺伝子「CAPS1」を欠損したマウスの作製に成功 糖尿病とうつの関連を解明

2013.11.26
 群馬大学は、東京理科大学との共同研究により、糖尿病との関連が示されている遺伝子「CAPS1(Ca2+ -dependent activator protein for secretion1)」を欠損したマウスの作製に成功したと発表した。

 この研究は、群馬大学先端科学研究指導者育成ユニットの定方哲史助教、東京理科大理工学部の古市貞一教授らの共同研究チームが行ったもので、詳細は10月30日付けで北米神経科学会誌「Journal of Neuroscience」オンライン版に発表された。

 CAPS1はCADPS1とも表記され、「有芯小胞」という大型の分泌小胞に作用して、小胞内腔に含有される「インスリン」などの「ペプチドホルモン」や、「ドーパミン」や「ノルエピネフリン」など「生体アミン」の分泌を促進する因子とみられている。

 その分泌の仕組みは、まず細胞内におけるCa2+の濃度が増加し刺激を受けると、有芯小胞の膜が形質膜と融合する「開口放出」を起こし、内腔に含有された物質を細胞外へと分泌。この際、CAPS1は開口放出を促進する作用をもつと考えられている。

 CAPS1に分泌促進を受ける物質はそのほかにもあり、分泌性タンパク質の「脳由来神経栄養因子(BDNF)」もその1つだ。BDNFは特に脳に多く発現し、神経ネットワークの形成に関与することで学習や記憶などの脳の高次機能を調節し、うつ病などの精神疾患にも関連することが知られている重要な分泌タンパク質だ。

 病気に関しては、CAPS1タンパク質が減少したマウスは、糖尿病の症状を示すが、CAPS1タンパク質が減少したマウスを用いることで、すい臓のランゲルハンス島からのインスリン分泌に関与していることが示唆された。

 さらにCAPS1は、生命維持においても極めて重要な役割を担っていることが確認されている。マウスの全身においてCAPS1遺伝子を完全に欠損させると、生後すぐに死亡してしまうのだ。そのため、生後の解析ができず、個体レベルでの解析ができていない状況だった。

 そこで研究チームは今回、後のマウスを用いた個体レベルでのCAPS1遺伝子の役割を解明することを目的に、大脳や海馬、および小脳など脳に特異的にCAPS1遺伝子を欠損させたマウスを開発に着手した。

 「Creタンパク質」は染色体上で2つの「loxP配列」によって挟まれた遺伝子配列を除去するという活性をもっている。研究チームは、大脳と海馬もしくは小脳特異的にCreタンパク質が作られるマウスと、今回作製したCAPS1遺伝子がloxPによって挟まれた染色体をもつ遺伝子改変マウスを交配させ、大脳・海馬もしくは小脳特異的にCAPS1を欠失させることに成功した。

 CAPS1を欠損したマウスを解析した結果、神経ペプチドなどの分泌性タンパク質を含む有芯小胞が神経軸索にほとんど分布しないことが判明。さらに内包されるタンパク質候補を広く調べた結果、BDNFを含んだ輸送小胞が神経軸索に分布しないことも明らかになった。また、これによるシナプスにおける分泌機能の低下もみられた。電子顕微鏡における観察においては、ゴルジ体の形態異常も確認された。

 これらの結果から、インスリンの分泌に関与しているCAPS1タンパク質は、脳においてはBDNFの分泌に関与することが明らかになった。

 糖尿病は、うつ病を併発しやすいことが知られている。今回の研究成果は、CAPS1タンパク質がインスリンとBDNF分泌の両方に関与していることを示しており、糖尿病患者がうつ病を併発するメカニズムの一部を分子病態の面から解明するものだという。臨床面では、基礎基盤と応用的展開に新しい切り口を開くものとして重要だとしている。

群馬大学先端科学研究指導者育成ユニット

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