DPP-4阻害薬「トラゼンタ」は肝疾患のある2型糖尿病患者でも安全で有効

2013.11.26
 ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、DPP-4阻害薬「トラゼンタ」(リナグリプチン)有効性と忍容性を示す新しいデータを発表した。肝疾患を有する成人2型糖尿病患者および65歳以上のアジア人2型糖尿病患者を対象としている。

 肝疾患および胆道疾患を有する2型糖尿病患者や65歳以上の患者は、治療選択肢が限られる。アジア地域では2型糖尿病の患者が急増し、さらに肝胆道系疾患の有病率も高いことから、有効で安全な治療選択肢の需要が高まっている。

 リナグリプチンは肝臓でほとんど代謝を受けず主に未変化体で胆汁に排泄されるため、「腎機能・肝機能の程度に関わらず同一用量で投与」できるとしている。

肝胆道系疾患のある2型糖尿病患者における有効性と安全性

肝疾患のある成人2型糖尿病患者に対するリナグリプチンの有効性と忍容性:17件の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の併合解析

 リナグリプチン(肝胆道疾患がある患者n=418、肝胆道疾患がない患者n=4207)またはプラセボ(肝胆道疾患がある患者n=203、肝胆道疾患がない患者n=2181)を投与された被験者7,009例の併合解析。肝胆道疾患のうち、最も頻度が高かった疾患は脂肪肝、胆石症、胆のう炎の既往がある患者621名だった。各治療群(肝胆道疾患がある患者と肝胆道疾患がない患者)の被験者の約40%がアジア人。すべての試験で主要評価項目はHbA1cのベースラインからの変化とした。

• リナグリプチン群は、肝胆道系疾患がある患者およびない患者のいずれにおいても24週目のベースラインからのHbA1c変化量をプラセボに対して統計学的に有意に低下させ、その低下量はそれぞれ0.52%および0.62%だった。
• 有害事象の発現率は、肝胆道系疾患がある患者(リナグリプチン群65.1%、プラセボ群68.0%)、およびない患者(リナグリプチン群56.7%、プラセボ群62.0%)で同程度だった。
• 重篤な有害事象は、肝胆道系疾患がある患者ではリナグリプチン群で7.9%、プラセボ群で9.9%、ない患者ではリナグリプチン群で4.7%、プラセボ群で6.6%に発現した。
• 副作用はプラセボ群と比較してリナグリプチン群で低頻度でした(肝胆道系疾患がある患者で12%と15.3%;ない患者で11.6%と13.6%);低血糖症はプラセボと比較してリナグリプチンで低頻度だった(肝胆道疾患がある患者で12.2%と19.2%;ない患者で11.9%と14.8%)。

高齢のアジア人2型糖尿病患者における有効性と安全性

65歳以上のアジア人2型糖尿病患者における有効性と安全性に関する併合解析

 プラセボ対照のリナグリプチン単独または他剤との併用療法による併合解析データ。有効性データはアジア人成人2型糖尿病の患者337名(リナグリプチンn=239、プラセボn=108)を含む11件の治験から24週間以上にわたる併合解析の結果であり、安全性データはアジア人の成人2型糖尿病患者518名(リナグリプチン群n=358;プラセボ群n=160)を含む15件の試験からの併合解析となっている。

• 24週後のHbA1cは、リナグリプチン群で0.90%低下し、統計学的に有意な低下を示した。一方、プラセボ群は0.08%低下し、その群間差は0.82%だった。
• リナグリプチン群における有害事象(AE)と重篤な有害事象(SAE)の発現率はプラセボ群と同程度だった(AE:リナグリプチン群 53.6%、プラセボ群61.9%。SAE:リナグリプチン群 4.5%、プラセボ群6.9%)。
• 副作用の発現率は、プラセボ群と比較してリナグリプチン群で低い結果だった(リナグリプチン群12.6%、プラセボ群17.5%)。治験責任医師の判定による低血糖症の発現率も同様にリナグリプチン群で低い結果だった(リナグリプチン群9.5%、プラセボ群18.1%)。
• インスリンまたはSU薬による治療を受けていなかった場合の症候性低血糖症の発現率はプラセボ群と同程度だった(リナグリプチン群1.1%、プラセボ群1.5%)。

ベーリンガーインゲルハイム

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