SGLT2阻害薬「エンパグリフロジン」を国内申請 適応症は「2型糖尿病」

2013.10.16
 日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)と日本イーライリリーは、SGLT2阻害薬「エンパグリフロジン」の承認申請をしたと発表した。適応症は、インスリン製剤や全ての経口血糖降下薬と併用できる「2型糖尿病」。承認取得後はNBIが販売し、両社で共同販促する。今回の承認申請の発表により、国内で第3相試験を行ったSGLT2阻害薬6成分は全て申請中となった。

 SGLT-2阻害薬は、腎尿細管において糖の再吸収に関与するトランスポーターのナトリウム依存性グルコース共輸送体2(SGLT2)を阻害し、糖の再吸収を抑制することで血糖値を改善する薬剤で、血糖降下作用を有するが、低血糖のリスクは低く、体重減少作用もあるとされる。

 エンパグリフロジンの臨床試験では、単剤のほか、両社が現在共同販促しているDPP-4阻害薬トラゼンタを含む他の糖尿病治療薬との併用療法にて、有効性と安全性が確認されたという。

 9月にバルセロナで開催された第49回欧州糖尿病学会年次総会では、エンパグリフロジンに関する4つの第3相臨床試験の結果が発表された。4つの第3相臨床試験の併合解析は、エンパグリフロジン(10mg または 25mg)の単独投与、メトホルミンまたはメトホルミン+SU薬への追加投与、ピオグリタゾンまたはピオグリタゾン+メトホルミンへの追加投与として、24週間治療を受けた2,477人の患者から得られた有効性データにもとづくもの。

 2型糖尿病患者にエンパグリフロジン(10mgおよび25mg)を24週間投与した時の結果は以下の通り――
・HbA1cのベースラインからの変化量は、エンパグリフロジン10mg群では-0.70%、エンパグリフロジン25mg群では-0.76%と、有意な低下がみられた(プラセボ群 -0.08%)。
・ベースラインからの体重変化量は、エンパグリフロジン10mg群では-2.05kg、エンパグリフロジン25mg群では-2.25kg(プラセボ群 -0.24kg)。
・収縮期血圧の変化量は、エンパグリフロジン10mg群で-3.9mmHg、エンパグリフロジン25mg群で-4.3mmHg(プラセボ群 -0.5mmHg)。拡張期血圧の変化量はエンパグリフロジン10mg群で-1.8mmHg、エンパグリフロジン25mg群で-2.0mmHg(プラセボ群 -0.6mmHg)。
・ベースラインからのLDLコレステロール変化量は、エンパグリフロジン10mg群で+3.1mg/dL、エンパグリフロジン25mg群で+3.9mg/dL(プラセボ群 +0.8mg/dL)。
・ベースラインからのHDLコレステロール変化量は、エンパグリフロジン 両用量群で+2.7mg/dL(プラセボ群 0.0mg/dL)。
・ベースラインからのトリグリセリド値の変化量は、エンパグリフロジン 10mg群で-9.7mg/dL、エンパグリフロジン 25mg群で-1.8mg/dL(プラセボ群 +2.7mg/dL)。

 SGLT2阻害薬は日本でも開発競争が激しく、エンパグリフロジンを含めて、6成分が申請中となった。3月のイプラグリフロジン(アステラス製薬/寿製薬)、4月のルセオグリフロジン(大正製薬/ノバルティス)、4月のトホグリフロジン(興和/サノフィ)、5月のカナグリフロジン(田辺三菱/第一三共)、ダパグリフロジン(アストラゼネカ、ブリストル・マイヤーズ)、エンパグリフロジン(NBI、リリー)――の6成分。

関連情報
SGLT2阻害薬「カナグリフロジン」の製造販売承認を申請 田辺三菱製薬(2013年5月28日)

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