2型糖尿病治療薬「TAK-875」臨床試験 低血糖増やさず血糖コントロール

2012.02.28
 武田薬品工業は、2型糖尿病治療薬「TAK-875」の臨床第2相試験の成績が、医学誌「Lancet」のオンライン版に掲載されたと発表した。

 TAK-875は、同社のG蛋白質共役受容体(GPCR)研究から創製された、膵島細胞に発現するGPCRのひとつである「GPR40」に作用する新規作用機序の薬剤。既存のSU剤と違い、グルコース濃度に依存してインスリン分泌を改善するため、低血糖リスクが少ないことが期待されている。

 Lancetに掲載された試験は、同社の子会社である武田グローバル研究開発センター(米国イリノイ州)が実施したもの。TAK-875投与群の全ての用量(6.25mg、25mg、50mg、100mg、200mg)で、プラセボ投与群と比較して、低血糖の発現率を上昇させることなく、12週時点のHbA1cを有意に低下させることが示された。

 12週時点のHbA1cは、TAK-875投与群では、全ての用量において、0.65%(6.25mg投与群)~1.0%(50mg投与群)と、プラセボ投与群と比較して有意に低下した。また、グリメピリド投与群(1.0%)と比較した場合、TAK-875 6.25mg投与群でのみHbA1cの変化量が有意に少なく(p=0.012)、それ以外の用量では同程度だった。

 12週時点のHbA1cが7%以下に低下した患者の割合は、TAK-875 50mg投与群(40.4%)では、プラセボ投与群(17.6%)と比較して約2倍だった。

 低血糖の発現率は、TAK-875投与群(2.3%)では、全ての用量において、グリメピリド投与群(16.1%)と比較して有意に低く、プラセボ投与群(3.3%)と比較して同程度だった。

 12週間時点のベースラインからの体重変化量は、グリメピリド投与群(約1.0%)で有意な増加が認められたのに対し、TAK-875投与群(-0.1%~0.6%)では、全ての用量において、有意な増加が認められなかった。

 試験結果は、2011年6月にサンディエゴで開催された第71回米国糖尿病学会年次集会で発表された。日本でのTAK-875の第3相試験は2011年9月に開始されている。

武田薬品工業(株)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

脂質異常症の食事療法のエビデンスと指導 高TG血症に対する治療介入を実践 見逃してはいけない家族性高コレステロール血症
SGLT2阻害薬を高齢者でどう使う 週1回インスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防 高齢者糖尿病のオンライン診療 高齢者糖尿病の支援サービス
GLP-1受容体作動薬の種類と使い分け インスリンの種類と使い方 糖尿病の経口薬で最低限注意するポイント 血糖推移をみる際のポイント~薬剤選択にどう生かすか~ 糖尿病関連デジタルデバイスの使い方 1型糖尿病の治療選択肢(インスリンポンプ・CGMなど) 二次性高血圧 低ナトリウム血症 妊娠中の甲状腺疾患 ステロイド薬の使い分け 下垂体機能検査
NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術- 骨粗鬆症治療薬 脂質異常症の治療-コレステロール低下薬 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症 FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症 褐色細胞腫

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料