世界初の胆汁排泄型選択的DPP-4阻害薬「トラゼンタ」発売

2011.09.16
 日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、ベーリンガーインゲルハイムが創製した世界初の胆汁排泄型選択的DPP-4阻害薬「トラゼンタ錠5mg(一般名:リナグリプチン)」を9月15日に発売した。トラゼンタ錠は7月1日に承認を受け、9月12日に薬価収載された。

 トラゼンタ錠5mgは、食事療法、運動療法で、十分な血糖コントロールを得られない2型糖尿病患者に対し、1日1回1錠の投与で血糖コントロールを改善する。

 トラゼンタ錠の添付文書には、単独療法において、腎機能の程度に応じて用量調節をする必要があるなどの記載がない。腎機能低下リスクが高い場合のアンメットニーズに対しても新たな治療選択肢となる。

 腎機能が低下している患者は、慢性腎不全への進行や心血管病の発症というリスクが高く、また、腎機能が低下している2型糖尿病患者は、低血糖のリスクが高まることが知られている。そのため腎機能に配慮した治療が求められる。

 日本では、2型糖尿病患者の42%が慢性腎臓病(CKD)のステージ2(軽度GFR低下を伴う腎障害)以上を合併しているとの報告がある。また、腎機能低下のリスク要因である高血圧を合併している2型糖尿病患者の割合は40%との報告もある。

 2型糖尿病自体が腎機能低下リスクである上に、2型糖尿病患者の多くが高血圧や微量アルブミン尿症を合併しており、腎機能低下リスクが高い状態にさらされている。腎機能低下の進行を止めることが臨床上重要な課題となっている。

 トラゼンタはベーリンガーインゲルハイムとイーライリリーのグローバルレベルでの戦略的アライアンスのもとで、初めて発売される糖尿病治療薬。日本では、日本ベーリンガーインゲルハイムが製造、販売を行い、両社で共同販促を行う。

トラゼンタ錠5mg 概要
一般名リナグリプチン
効能・効果2型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る。)
用法・用量通常、成人にはリナグリプチンとして5mgを1日1回経口投与する。
薬 価トラゼンタ錠5mg 209.40円
安全性・副作用国内で実施された臨床試験において、720例中86例(11.9%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められた。主な副作用は便秘14例(1.9%)、鼓腸11例(1.5%)、腹部膨満7例(1.0%)等。重大な副作用として、低血糖症5例(0.7%)が報告された。

日本ベーリンガーインゲルハイム
日本イーライリリー

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