医療費36.6兆円 薬価引下げでも糖尿病用剤は2.2%増加 【2010年度医療費】
2011.08.29
厚生労働省の集計によると、2010年度の医療費は、前年度に比べて約1.4兆円増加し、過去最高の36.6兆円となった。医療費の増加は8年連続。
厚労省の「医療費の動向調査」は、診療報酬支払基金や国民健康保険連合会など、審査支払機関で審査された診療報酬明細書などをとりまとめた統計。それによると1人当たり年間医療費は2010年は28.7万円で、前年度より1.1万円増えた。年間医療費は2005年度(25.4万円)から一貫して増加を続けている。 延べ患者数に相当する受診延べ日数は0.1%増と、6年ぶりに増加に転じ、患者1人が1日の入院や1回の外来などでかかった医療費を示す「1日当たり医療費」は例年並みの伸びを示しており、総額の増加につながった。 診療種類別の医療費は、医科入院が14.9兆円(40.7%、対前年比6.2%増)、入院外が13.0兆円(35.4%、同1.8%増)、調剤が6.1兆円(16.6%、同3.6%増)となっている。医科入院外と調剤の合計は19.0兆円(52.0%)。入院の伸びが目立って大きく、急性期の入院医療に財源を手厚く配分した昨年度の診療報酬改定の影響がみられる。
調剤医療費の動向 糖尿病用剤は2.2%増加
処方せん当たりの医療費を示す調剤は、薬価引き下げの影響が大きくみられる。2010年の調剤医療費は6.1兆円で、薬価引き下げを反映し伸び率は3.6%と前年度を4.3ポイント下回った。処方せん枚数は7.6億枚で4.3%増加したものの、1枚当たり医療費は7985円で、前年度の8034円より49円(0.6%)低下した。 電算処理分ベースで処方せん1枚当たり医療費の内訳を見ると、技術料が2104円(4.7%増)、薬剤料が5867円(2.4%減)、特定保険医療材料料13円(1.3%増)で、薬剤費比率が73.5%へ前年度から1.3ポイント低下した。 1枚当たり調剤医療費は年齢とともに高くなり、65歳~70歳が9254円、75歳以上が1万8円で、40歳未満の1.5~2倍に達する。ただし、2010年度は45歳以上の各年齢階層で前年度から減少した。 内服薬の薬効分類別を処方せん1枚当たりでみると、(1)「循環器官用薬」が1407円(対前年比6.0%減)と最も高く、以下は(2)「中枢神経系用薬」685円(同4.1%増)、(3)「消化器官用薬」491円(同7.3%減)と続く。「糖尿病用剤」は処方せん1枚当たり薬剤料は210円で、前年比から2.2%増加した。 薬価引き下げなどを反映し対前年比で大きく低下したのは、循環器官用では「血管拡張剤」(16.2%減)、「不整脈用剤」(10.1%減)、循環器官用では「消化性潰瘍用剤」(8.8%減)、「ビタミン剤」(9.7%減)だった。一方、「その他中枢神経系用薬」は17.4%と大きく伸びた。 後発医薬品の比率は薬剤料ベースで8.2%(1.3%増)、数量ベースで22.4%(3.4%増)だった。都道府県別では、最高の沖縄35.9%に対し、最低の秋田は17.8%だった。
最近の調剤医療費(電算処理分)の動向の概要~平成22年度版~
調剤医療費の全数と電算処理分の比較
調剤医療費の内訳
年齢階級別の状況
処方せん1枚当たり薬剤料の3要素分解
薬効分類別の状況(1)(処方せん1枚当たり薬剤料)
薬効分類別の状況(2)(処方せん1枚当たり薬剤種類数)
薬効分類別の状況(3)(投薬日数)
薬効分類別の状況(4)(1種類1日当たり薬剤料)
薬効分類別の状況(5)(後発医薬品割合(薬剤料ベース))
後発医薬品割合(数量ベース)階級別保険薬局構成割合
後発医薬品割合
都道府県別の状況(1)(処方せん1枚当たり調剤医療費)
都道府県別の状況(2)(処方せん1枚当たり調剤医療費の報酬別内訳)
都道府県別の状況(3)(処方せん1枚当たり薬剤料の3要素分解)
都道府県別の状況(4)(後発医薬品割合)
医療費の動向(厚生労働省)調剤医療費の動向(厚生労働省)
医療保険医療費データベース(厚生労働省)
概算医療費データベース(厚生労働省)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]