GLP-1受容体作動薬「リキシセナチド」 日本人含む第3相試験でHbA1cを低下
2011.06.30
基礎インスリン(basal insulin)とスルホニル尿素薬(SU薬)ではコントロールが不十分な、アジア人2型糖尿病患者に、1日1回投与のGLP-1受容体作動薬Lyxumia(一般名:リキシセナチド)を追加投与することで、プラセボ群に比べ血糖コントロールが有意に改善し、HbA1cが低下することが、臨床第3相試験「GetGoal-L Asia」試験で明らかになった。
臨床第3相試験(P3)「GetGoal-L Asia」試験は、基礎インスリンとスルホニル尿素薬ではコントロールが不十分なアジアの2型糖尿病患者を対象に、プラセボに比べ、リキシセナチド1日1回投与による効果をHbA1cから検討することを目的に実施された。結果は、米カルフォルニア州・サンディエゴで6月24~28日に開催された第71回米国糖尿病学会(ADA)のオーラルセッションで発表された。 試験は、日本、台湾、フィリピン、韓国のアジア4ヵ国で行われており、対象は診断されてから1年以上が経過した2型糖尿病患者311例。リキシセナチド群(154例)、プラセボ群(157例)に無作為に割り付け、24週間投与した。24週間後のHbA1c値の変化を主要評価項目とし、HbA1c 6.5%未満または7.0%未満を達成した患者数で判定した。 HbA1c 6.5%以下を達成した患者比率は、リキシセナチド群で17.8%、プラセボ群で1.3%となった。7.0%未満を達成した患者数は、リキシセナチド群で35.6%、プラセボ群で5.2%となった。いずれもリキシセナチド群がプラセボ群で有意に高く、治療目標に到達していることが示された(いずれもP値<0.0001)。 食後2時間血糖値のベースラインからの変化は、プラセボ群では有意な差がみれらなかったのに対し、リキシセナチド群は7.96 mmol/L低下した。血糖値変動幅もプラセボ群では有意差がみれれなかったが、リキシセナチド群では7.09mmol/L低下した。 試験中の重篤な有害事象は、リキシセナチド群で10例(6.5%)、プラセボ群で9例(5.7%)認められ、試験中の有害事象(主に消化器系の有害事象)のために試験を中止した患者の割合は、リキシセナチド群(14例・9.1%)の方がプラセボ群(5例・3.2%)よりも高くなった。 インスリンとSU薬を併用している患者では、症候性低血糖症の発生率は、リキシセナチド群(42.9%)の方がプラセボ群(23.6%)よりも高くなった。SU薬を使用していない患者では、症候性低血糖症の発生率はそれぞれ31.8%と28.3%に低下し、重症低血糖症はみられなかった。 リキシセナチドはサノフィが開発を進めているGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬で、2型糖尿病を適応とする臨床試験が行われている。現時点では、どの国でも承認されていない。GetGoal第III相臨床試験プログラムでは、さまざまな経口抗糖尿病薬やインスリンの治療を受けている成人2型糖尿病患者における有効性と安全性に関するデータが得られる見通し。9件の試験から構成されるGetGoal臨床試験プログラムは、2008年5月に開始され、4,300人以上の患者が登録している。これまでに、「GetGoal-X」、「GetGoal-Mono」、「GetGoal-L Asia」、「GetGoal-S」が実施されている。 サノフィ・アベンティス
GLP-1 Agonist AVE0010 in Patients With Type 2 Diabetes for Glycemic Control and Safety Evaluation, on Top of Basal Insulin +/- Sulfonylurea (GETGOAL-L-ASIA)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]