世界の医薬品支出額は1兆ドル超 糖尿病薬は市場拡大の見込み
2011.05.20
米IMS研究所は、世界の2015年までの医薬品支出額は年間成長率は3~6%と鈍化するが、1兆1000億ドル(約89兆円)へ拡大するとの予想を発表した。米国など先進国での先行薬の特許切れが続き、世界市場では先行薬のシェアは2005年の70%から2010年の64%に低下した一方で、中国やブラジルなど新興国での市場規模が拡大しているという。
糖尿病の治療薬では、世界的に患者数が増加し、画期的な経口血糖降下薬が開発されており、年間成長率は4~7%になると予想している。他に先行薬で市場拡大が予想されている薬剤分類は、腫瘍内科学(5~8%)、喘息・COPD(2~5%)など。
バイオシミラー(バイオ後続品)に対する支出額も急速に伸び、2015年までに20億ドルを超え、世界のバイオ製剤に対する支出の約1%を占めるようになる。欧州での支出額は2010年は3億1100万ドルだったが、数年で新たなバイオシミラーが登場するという。
先進国市場では高齢化の影響で医薬品支出は増えるが、後発品の利用が増えるために、世界の医薬品支出に占める先行薬の割合は2010年の64%から2015年の53%へ低下する見通し。
米国の2010年の医薬品支出額は3074億ドル(約25兆円)に達した。国民1人当りの支出に換算すると前年から6ドル増加したが、処方薬全体ではこれまでにない低水準の伸びとなり、患者の平均自己負担額も減少した。これは、主に後発薬の利用の増加によるもので、いまや小売薬局で調剤される処方薬の78%が後発薬で占められるという。
先進国では後発薬の利用拡大が一般的だが、日本では例外的に、政府の後発薬の利用を促す政策にもかかわらず、先行薬の処方が依然として多いだろうと予想している。
IMS Institute Forecasts Global Spending on Medicines to Reach Nearly $1.1 Trillion by 2015(2011年5月18日)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]