メトホルミンの長期治療でビタミンB12が欠乏

2010.06.04
 メトホルミンによる長期の治療はビタミンB(VB)12欠乏のリスクを増加させるとの知見が、英国医師会誌「BMJ」オンライン版に5月20日付で発表された。

 オランダのベテスダ総合病院ベテスダ糖尿病研究センターのCoen Stehouwer氏らは、インスリン治療を受けている2型糖尿病患者390例を、メトホルミン850mgを1日3回服用するメトホルミン群(196例)とプラセボ群(194例)に無作為化に割り付け、平均4.3年間のメトホルミンの影響を調べた。ベースラインから4、17、30、43、52ヵ月のVB12、葉酸、ホモシステイン値の変化をみた。

 その結果、VB12値は、メトホルミン群ではプラセボ群に比べ約19%、葉酸値は約5%、ホモシステイン値は約5%、それぞれ低下していた。一方、プラセボ群のVB12値には変化はなかった。VB12の低下傾向はメトホルミン服用期間が長期になるほどより顕著になり、期間中にVB12欠乏のみられる患者数は3人から19人へと増加した。

 体格指数(BMI)、喫煙などの影響を調整した後も、葉酸値には影響しなかった。従来の研究でもメトホルミン治療によるVB12値の低下が指摘されるが、今回の研究ではより明白に示された。研究者らは「VB12欠乏は予防できるので、メトホルミン治療を長期的に行う場合は、医師と患者はVB12値を定期的に測定したほうが良いだろう」と指摘している。

Long term treatment with metformin in patients with type 2 diabetes and risk of vitamin B-12 deficiency: randomised placebo controlled trial
Jolien de Jager et al: BMJ 2010, doi:10.1136/bmj.c2181

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