インクレチン関連薬の副作用(低血糖)報告を公表 厚生労働省
2010.05.26
厚生労働省は5月26日、「医薬品・医療機器等安全性情報」269号を公表した。インクレチン関連の2型糖尿病治療薬について、特にSU薬を投与中の患者で併用した場合に「因果関係を否定できない副作用(低血糖)」の報告があったとしている。
厚生労働省は、インクレチン関連の2型糖尿病治療薬である万有製薬の「ジャヌビア」、小野薬品工業の「グラクティブ」、ノバルティスファーマの「エクア」、ノボ ノルディスク ファーマの「ビクトーザ」、武田薬品工業の「ネシーナ」について、4月27日付で添付文書を改訂し、注意喚起するよう指示している。 このうち、シタグリプチンリン酸塩水和物(万有製薬の「ジャヌビア」、小野薬品工業の「グラクティブ」)は、昨年12月に発売されたDPP-4阻害薬で、今年4月までに約23万人の患者が使用している。 報告された重大な副作用として、低血糖症を挙げている。報告された低血糖症は25例。他の糖尿病用薬との併用で低血糖症が起こることがあるという(グリメピリド併用時5.3%、ピオグリタゾン併用時0.8%、メトホルミン併用時0.7%)。特にSU薬との併用では、重篤な低血糖症状があらわれ意識消失をきたした例も報告された。 同剤に併用して他の糖尿病用薬(特にSU薬)を投与中の患者では慎重投与を要するとして、重要な基本的注意として「患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること」、「SU薬による低血糖のリスクを軽減するため、併用する場合には、SU薬の減量を検討すること」と指示している。「低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと」としている。 同剤の効能・効果は、2型糖尿病で下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
(1) 食事療法、運動療法のみ
(2) 食事療法、運動療法に加えてSU(スルホニルウレア)薬を使用
(3) 食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
(4) 食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用 さらに、同じインクレチン関連薬のノバルティスファーマの「エクア」(4月発売)、ノボ ノルディスク ファーマの「ビクトーザ」(未発売、1月承認取得)、武田薬品工業の「ネシーナ」(未発売、4月承認取得)についても同様に、SU薬と併用する場合は低血糖のリスクが増加するおそれがあるとして、4月27日日付で添付文書の改訂を指示している。
委員会は糖尿病専門医へのコンサルトを推奨
「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」は、重篤な低血糖を起こすケースで認められた特徴として、下記を挙げている。
1) 高齢者
2) 軽度腎機能低下
3) SU薬の高用量内服
4) SU薬ベースで他剤併用
5) シタグリプチン内服追加後早期に低血糖が出現
日本糖尿病学会ホームページで、インクレチン関連薬使用に関する情報(5月17日付で修正)を公表している。
日本糖尿病学会
「医薬品・医療機器等安全性情報」269号(医薬品医療機器総合機構)「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」は、重篤な低血糖を起こすケースで認められた特徴として、下記を挙げている。
1) 高齢者
2) 軽度腎機能低下
3) SU薬の高用量内服
4) SU薬ベースで他剤併用
5) シタグリプチン内服追加後早期に低血糖が出現
日本糖尿病学会ホームページで、インクレチン関連薬使用に関する情報(5月17日付で修正)を公表している。
日本糖尿病学会
2. 重要な副作用等に関する情報
2 シタグリプチンリン酸塩水和物、ビルダグリプチン、リラグルチド(遺伝子組換え)、アログリプチン安息香酸塩
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]