【新型コロナ】コロナ禍が運動不足を促進 「感染への不安」が運動・スポーツへの参加を阻害している
新型コロナのパンデミック発生以前と発生後とを比較すると、健康度が「向上した」人は12.8%であるのに対して、「低下した」人は21.8%。
体力が「低下した」人は32.7%、運動不足解消の状況が「低下した」人は36.3%となり、3人に1人がコロナ禍で体力が低下し、運動をしにくい状況にあると感じている。
スポーツを実施する意欲は「高くなった」が22.9%であるのに対して、「低くなった」は13.6%。現在の状況で運動・スポーツを実施する理由として、「ストレス解消のための運動欲求の増加」が31.9%ともっとも多く挙げられた。
調査対象は6~79歳の男女約220万人で、インターネットで2月に実施した。
3人に1人がコロナ禍で体力の低下を感じている
スポーツ庁は「新型コロナウイルス感染症の流行による国民のスポーツへの参画状況や意識の変化、健康状態等に関する調査研究」の結果を発表した。コロナ禍で国民の運動・スポーツへの参画状況や意識がどのように変化したかを調査した。
調査対象となったのは全国の6~79歳の男女約220万人で、「楽天インサイト」パネルを用いたWebアンケート調査として2月12日~15日に実施された。有効回収数は計9,000件(男性52.2%)で、15歳未満は親が回答した。
新型コロナのパンデミック発生以前と発生後とを比較すると、3人に1人がコロナ禍で体力が低下し、運動をしにくい状況にあると感じていることが分かった。
体力が「やや低下した」「低下した」という人は32.7%に上り、「やや向上した」「向上した」したという人の10.6%を22.1ポイント上回った。
また、運動不足解消の状況についても、体力が「やや低下した」「低下した」という人は36.3%に上り、「やや向上した」「向上した」したという人の10.6%を25.2ポイント上回った。
健康度については、「やや低下した」「低下した」という人は21.8%に上り、「やや向上した」「向上した」という人の12.8%を9.0ポイント上回った。
運動・スポーツに対する意欲自体は高まっている
求めているのは「ストレス解消」
一方、コロナ禍で、運動・スポーツに対する意欲を高めている人は増えている。
運動・スポーツを実施する意欲が「やや高くなった」「やや高くなった」という人は22.9%であるのに対して、「低くなった」「やや低くなった」は13.6%にとどまり、意欲が増加した人が9.3ポイント上回った。
現在の状況で運動・スポーツを実施することを促進している要因として挙げられたのは、「ストレス解消のための運動欲求の増加」(31.9%)ともっとも多く、次いで「家でもできるスポーツ・エクササイズ動画」(28.9%)、「テレワークなどの導入による余暇時間の増大」(22.8%)、「健康・体力づくりの為の情報との接触機会増大」(22.5%)、「施設・設備が感染対策をしていることの情報発信」(18.1%)と続く。
コロナ禍で、運動・スポーツを続けるのが困難な状況にあっても、日頃の運動不足の解消に向けて取組みたいという意欲が高い人が多いことが示された。
運動・スポーツをしているときに行っている感染対策としては、「3密条件がそろう場所で実施しない」(75.1%)がもっとも多く、次いで「マスクの着用や咳エチケットに配慮」(67.3%)、「人と人との間隔を意識して実施」(60.7%)、「体調に不調を感じたら控える」(50.6%)、「自宅で行えることを中心に実施する」(36.4%)と続く。全体的に、感染対策に配慮しながら運動・スポーツを実践している姿が浮かび上がった。
軽度の運動は継続できている 宣言の解除後から徐々に回復
新型コロナの拡大後も運動・スポーツの継続を心がけている人も多い。
新型コロナの緊急事態宣言が発令された2020年4~5月を「宣言中」、2020年6~12月を「解除後」、2021年1~2月を「現在」として、新型コロナの影響下に、運動・スポーツへの取組みがどのように変化したかも調査した。
運動・スポーツを「行っていない」層に着目すると、宣言前から宣言中にかけて行っていない層の増加がみられ、解除後から現在にかけて徐々に回復していることが示された。
運動負荷が「中程度」「重度・本格的」と運動強度が高い運動については、行う機会が減少しているが、軽度の運動(散歩、ぶらぶら歩き、ストレッチ、軽い体操など)については、40%以上の人が宣言中から現在にかけても実施している傾向が示された。
新型コロナへの「感染不安」が運動・スポーツを邪魔している
運動・スポーツの実施を阻害している要因として、「新型コロナウイルスへの感染不安」(58.0%)がもっとも多く挙げられた。とくに「やや運動不足」「運動不足」という層では、71.0%が「感染不安」を挙げている。
他にも、「トレーニング施設などの入場制限や営業自粛」(34.8%)、「"不謹慎狩り""自粛警察"などの世間の目」(33.5%)、「チームの活動が中止になった」(29.9%)、「出場できる大会の延期や中止」(27.1%)と、多くの人がコロナ禍で運動・スポーツを継続するのを困難に感じている現状が浮き彫りになった。
運動・スポーツをしない人の具体的な理由としては、「面倒」(51.4%)、「もともと苦手」(37.8%)、「仕事や家事などが忙しい」(33.7%)、「外出すると感染リスクがある」(30.2%)、「外出自粛が呼びかけられていた」(27.9%)などで、コロナと関係のない理由も挙げられている。
スポーツ庁では、「コロナ禍での運動・スポーツ実施の推進については、"新型コロナウイルスへの感染不安"を払拭するのは困難ですが、実施時の感染防止対策や屋外・少人数で運動する際の正しいリスクについての情報発信、"不謹慎狩り""自粛警察"などの世間の目の軽減のための啓蒙活動・情報発信、オンラインでの大会開催を実施するなど、阻害要因を一部軽減することは可能とみられます」とコメントしている。