週1回投与の「インスリン イコデク」の第3相試験で追加評価項目を達成 インスリン注射を週1回に減少 ADA2023で発表
「インスリン イコデク」はインスリン投与回数を週7回から1回に減少
はじめての週1回投与のインスリン
「インスリン イコデク」は、開発中の新しい週1回投与のインスリンアナログで、1回の皮下注射により1週間にわたり必要な基礎インスリン量をまかなえるよう設計されている。
同剤の第3a相試験プログラムである「ONWARDS」は、1型糖尿病または2型糖尿病の成人患者4,000例以上を対象とした6つのグローバル試験で構成されている。
「ONWARDS 1」では、検証的副次評価項目である48週~52週での目標範囲内(血糖値70~180mg/dL)の時間で、インスリン グラルギン100単位/mL 1日1回投与に比べ、インスリン イコデク週1回投与の優越性が示された(71.9% vs 66.9%)。
48週~52週に血糖値が目標範囲未満の時間(血糖値<54mg/dL)は、インスリン イコデク週1回投与群とインスリングラルギン100単位/mL 1日1回投与群とで同程度だった (0.3% vs 0.2%)。いずれの値も、国際的に推奨されている目標値に合致するものだ。
「目標範囲内の時間は、血糖コントロールの評価に役立つ追加情報を提供してくれるもので、インスリン イコデクの週1回投与ではHbA1cの低下が示されているが、TIRは血糖コントロールの評価に役立つ追加情報を提供してくれるもので、HbA1c測定値を補完する重要な手段となりつつある。ONWARDS 1では、インスリンイコデクを投与することで血糖値が目標範囲内にある時間が有意に長くなり、目標範囲未満の時間はインスリン グラルギン100単位/mL 1日1回投与時と同程度だった。週1回投与のインスリンは、Basalインスリン補充を必要とする2型糖尿病患者さんの治療法に変化をもたらす可能性がある」と、主任治験責任医師を務めた、メディカルシティ ダラスの速度臨床研究部長および米国テキサス大学サウスウェスタン メディカルセンターの内科臨床教授であるフリオ ローゼンストック氏は述べている。
ONWARDS 1で、週平均インスリン投与量(50週~52週) またはベースラインからの体重の変化量に統計学的有意差は認められなかった。
また、臨床的に問題となる低血糖(血糖値54mg/dL未満)または重大な低血糖(血糖測定値に関係なく回復に他の人の助けが必要な低血糖)の発現は、いずれの投与群でも低頻度だった。臨床的に問題となる低血糖または重大な低血糖の単位時間あたりの発現件数は、インスリン イコデク週1回投与群で0.30件/人・年だったのに対し、インスリン グラルギン100単位/mL1日1回投与群では0.16件/人・年だった。
インスリン イコデク週1回投与群では、臨床的に問題となる低血糖または重大な低血糖を発現することなく目標HbA1c(<7%)を達成した被験者の割合がインスリン グラルギン100単位/mL1日1回投与群より統計学的に有意に高かったことが確認された(52.6% vs 42.6%)。
「ONWARDS 3」では、0週~31週の臨床的に問題となる低血糖または重大な低血糖の単位時間あたりの発現率は、インスリン イコデク週1回投与群で0.31件/人・年だったのに対し、インスリン デクルデク1日1回投与群では0.15件/人・年だった。
インスリン イコデク週1回投与群では臨床的に問題となる低血糖または重大な低血糖を発現することなく目標HbA1c(<7%)を達成した被験者の推定割合が、インスリン デグルデク1日1回投与群より統計学的に有意に高いという結果になった。
24週~26週の1週間あたりの平均インスリン投与量またはベースラインから26週までの体重の変化量に、両群間で統計学的有意差は認められなかった。予測された以外の安全性上の懸念は認められなかった。
インスリン イコデクは、米国、カナダ、欧州、中国、オーストラリア、スイスおよびブラジルですでに承認申請が行われ。最初の承認は2024年前半にえられる見込み。承認されれば、インスリン イコデクは糖尿病の成人患者にとって、はじめてかつ唯一の週1回投与のインスリンという選択肢をもたらし、1日1回投与のインスリンでは満たされていなかった治療ニーズに応えるものとなるとしている。
第83回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会
Improved A1C and TIR with Once-Weekly Insulin Icodec vs. Insulin Glargine U100 in Insulin-Naïve T2D—ONWARDS 1 (米国糖尿病学会 2023年6月24日)