新型コロナの後遺症を6割が経験 肥満者や女性で高い割合 診療の課題は? 新型コロナの後遺症の影響を調査
新型コロナウイルス感染症の後遺症を実態調査
60%が後遺症を経験 肥満者のリスクが高い
愛知県は、新型コロナの罹患後の症状(いわゆる後遺症)に悩む県民の実態と、医療機関での外来対応の実態を把握するために、新型コロナに係る罹患後症状の実態調査を実施した。
世界保健機関(WHO)は、新型コロナの後遺症について、「症状が少なくとも2ヵ月以上続き、ほかの疾患による症状として説明がつかないもので、通常は新型コロナの発症から3ヵ月経った時点にもみられる」と定義している。
調査は、県民3,037人および県内の509の医療機関を対象に、2024年6月26日~7月26日に実施したもの。
その結果、新型コロナに1回でも感染した経験があると回答した人のうち、約60%が後遺症を経験していることが示された。とくに女性の方が、男性よりも、後遺症を発症する割合が高いことも分かった(男性 43%、女性55%)。
既往歴や基礎疾患のうち、肥満(BMI 30以上)の男女は、ともに後遺症を発症する割合が高いことも示された。
男性では「後遺症あり」の割合は、肥満のある人では59%で、既往歴や基礎疾患のない人の42%より高かった。女性でも「後遺症あり」の割合は、肥満のある人では69%で、既往歴や基礎疾患のない人の54%より高かった。
新型コロナの後遺症の症状で多かったのは、「倦怠感(だるい・疲れやすい)」(49%)、「せき」(43%)、「のどの痛み・不快感・声がれ」(29%)、「味覚障害」(24%)、「たん」(24%)、「嗅覚障害」(23%)、だった。
愛知県調査 (2024年)
後遺症の継続期間は、約半数の人が「2ヵ月以上6ヵ月未満」と答えたが、1年以上継続する人も3割みられた。
愛知県調査 (2024年)
なお今回の調査は、実態調査として行ったため、後遺症がある人が多く回答している傾向があることが指摘されている。
「診察や治療方法が確立されていない」が後遺症の診療の課題に
医療機関を対象に実施した調査では、県内の509の医療機関が回答。
患者が来院した際の医療機関の対応は、「自院で対応する」(58%)が多く、その診療内容は、「症状に応じた薬物療法」(48%)が多かった。
医療機関が自院で対応できず、他の医療機関を紹介した場合は、その理由として、「対応できない症状だった」(54%)、「他疾患との鑑別が必要だった」(29%)が多かった。
他の医療機関を紹介した理由
新型コロナの後遺症の診療の課題としては、「診察や治療方法が確立されていない」(87%)、「社会での後遺症の理解が進んでいない」(39%)、「診療報酬が少ない」(32%)が多く挙げられた。
愛知県調査 (2024年)
なお、回答のあった509の医療機関のうち、後遺症対応医療機関として県のWebサイトに掲載されているのは95機関だった。非掲載の医療機関でも、175機関は後遺症患者に対する対応を行っていた。
「新型コロナの後遺症の症状は、さまざまであり、病態については不明な点が多い状況です。現在、後遺症の治療方法や研究が国内外で進められ、厚生労働省からも後遺症に関する診療の手引きが公開されています」と、同県ではコメントしている。
「県としては、これらの積極的な情報収集に努め、医療機関に十分な情報提供を行うことで、幅広く対応できる体制を整えていきます」としている。
現在の後遺症相談窓口では、症状や治療などに関する相談が多く見受けられることから、後遺症相談窓口での医療相談体制の強化をはかるとしている。
新型コロナウイルス感染症に係る罹患後症状 (いわゆる後遺症)実態把握調査結果について (愛知県 2024年11月19日)
愛知県新型コロナウイルス感染症対策サイト