【新型コロナ】パンデミック中の治療中断は若い糖尿病患者ほど多い 30~59歳では63%

2021.11.30
若い糖尿病患者はパンデミック中の治療中断が少なくない

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによって、若い糖尿病患者ほど通院を中断している割合が高いことを示すデータが報告された。また、若い糖尿病患者は高齢患者よりもワクチン接種にあまり積極的でない実態も明らかになった。モナッシュ大学(オーストラリア)のMark É. Czeisler氏らの研究によるもので、詳細は米疾病対策センター(CDC)発行の「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」11月19日号に掲載された。

 この研究は、2021年2~3月に米国でWeb調査として行われた。18歳以上の成人5,261人が回答し、このうち760人(14%)が糖尿病の治療を受けている患者だった。糖尿病患者を年齢により、18~29歳(10.4%)、30~59歳(48.9%)、60歳以上(40.7%)の3群に分けて、COVID-19パンデミックに伴う受療行動の変化やワクチン接種の予定などの相違を検討した。

 「COVID-19関連の懸念のため過去3ヵ月以内に受療行動を中断した」と回答した割合が、60歳以上では26%(95%信頼区間20~33)であるのに対して、30~59歳では63%(56~68)であり、さらに18~29歳では87%(78~93)とより高く、それぞれの群間に有意差が認められた。

 「医療へのアクセスは困難でない」とする割合は、60歳以上では91%(87~96)と大半を占めたものの、30~59歳は69%(66~76)、18~29歳は66%(55~86)とともに7割以下だった。これらの値は60歳以上の群に比較し有意に低く、COVID-19パンデミックの影響が比較的若い世代の医療アクセスに、より強い影響を及ぼしていることが明らかになった。さらに、「糖尿病治療薬へのアクセスが困難でない」とする割合は同順に、96%(94~98)、72%(68~79)、44%(33~67)であり、それぞれの群間に有意差が認められ、若い世代ほど医薬品へのアクセスに支障が生じている状況が浮き彫りになった。

 ワクチン接種の意向については、60歳以上は「接種する」が85%(79~89)であり、30~59歳は77%(71~81)、18~29歳は66%(50~79)で、若い世代ほど消極的だった。

 著者らは、「糖尿病の治療を継続することは、COVID-19に対するワクチン接種とともに、糖尿病患者がCOVID-19に罹患した際の重症化を防ぐために重要なことである」と述べている。その上で、特に若い世代で糖尿病治療継続への影響が顕著に表れていることに懸念を表し、「パンデミックによって、若い糖尿病患者の医療アクセスに障害が生じている原因を明らかにする必要がある。その研究から得られる知見は、個別化され実効性のあるCOVID-19対策の確立に役立つだろう」としている。

 なお、数人の著者が製薬・医療機器企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2021年11月19日]

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