「血糖クラウド管理システム」で各社の血糖自己測定器の情報を集約 糖尿病・肥満症遠隔診療で運用を開始 慶大病院
クラウド連携により各社の血糖自己測定器の情報を集約
「拡充型血糖クラウド管理システム」は、中部電力のデータプラットフォームとメディカルデータカードの「MeDaCa」システムを活用し、患者自身が血圧・体重・血糖値などを記録し、医師が一元的に閲覧可能な同システムの仕組みを拡充したもの。慶應義塾大学病院では2020年に産科外来と糖尿病・肥満症外来で運用を開始している。
同システムは、患者の同意のもと、在宅での血圧、体重、血糖値やインスリン使用量といったデータを、医師が遠隔で確認することが可能となるものだが、これまでは血糖値やインスリン使用量の入力は、患者自身が手入力する負担感が課題となっていた。
一方、LifeScanJapan、アークレイマーケティング、三和化学研究所などの簡易血糖自己測定器は、各医療メーカーのアプリに自動でデータ入力されるものの、医師側は患者の利用する医療機器メーカーに応じて各社のクラウドにログインする必要があり、短い診察時間のなかで各社のクラウドを活用することが困難という課題があった。
今回の拡充型システムの運用開始により、医療機器メーカー3社のクラウドと、同システムのデータプラットフォームを運用する中部電力のクラウド連携を開始したことにより、「MeDaCa」システムを介し、患者の記録データなどを医師が遠隔で医療機器メーカーや医療機関の垣根を越えてシームレスに確認できるようになった。
拡充型血糖クラウド管理システムの導入により新たな医療を目指す
「こうした連携は、病院が利用するシステムがハブとなり、各医療機器メーカーのデータをつなぎ合わせる新たなデータ連携のモデルケースになりうると考えており、このような仕組みが拡がることで、データを十分に活用したデジタル技術による新たな医療の実現に寄与できると考えています」と、研究者は述べている。
また、拡充型血糖クラウド管理システムは、メディカルデータカードの「MeDaCa」システムと連動し、医師と患者のビデオ通話による診察や、患者への検査結果・処方箋控えデータなどの送信も引き続き行っており、医療機関と患者のデータを共有することで患者と糖尿病専門医、糖尿病専門医とかかりつけ医師をつなぐ情報の架け橋としての役割も担うとしている。
現在、「MeDaCa」システムは、医師が血糖値のデータをリアルタイムで確認することができるため、慶應義塾大学病院のオンライン診療で活用されており、産科における遠隔妊婦健診に加え、短期でのフォローが必要となる妊娠糖尿病や妊娠高血圧症の患者、1型糖尿病などインスリン量の細やかな調整が必要な患者、生活習慣や心理面を把握することが必要で対話が重視される肥満症の患者にも活用されている。
データ連携先の拡充により利便性や汎用性を改善
今後の展望としては、同システムのデータ連携先の拡充を進めており、ユースケースを拡大することで利便性や汎用性の改善をさらに進めていくとしている。
「将来的にさらなる垣根を超えた情報の一元化と解析技術の開発によるシームレスなデータ連携遠隔医療システムの構築を目標とし、これからも慶應義塾大学病院、中部電力を中核として、内閣府の目指すSociety 5.0の実装に向けて開発を進めてまいります」としている。
慶應義塾大学医学部 内科学(腎臓・内分泌・代謝)
中部電力
メディカルデータカード