1型糖尿病合併妊婦の治療でトレシーバがレベミルと同様の有効性・安全性を示す
試験参加者は、いずれもインスリン アスパルト(1日2~4回投与)との併用で、インスリン デグルデクの1日1回投与群、またはインスリン デテミルの1日1~2回投与群に無作為に割り付けられた。
分娩前の平均HbA1c推定値は、トレシーバ投与群で6.23%、レベミル投与群で6.34%であり、レベミルに対するトレシーバの主要評価項目の非劣性が検証された。
ノボラピッドと併用下で、低血糖発現率はトレシーバとレベミルの間で臨床的に意義のある差はなく、妊娠アウトカムも同様だった。
1型糖尿病合併妊婦に対する追加の治療選択肢としてのトレシーバの可能性を確認
1型糖尿病合併妊娠は、妊娠高血圧腎症、帝王切開および妊産婦・胎児死亡などの合併症のリスクが高くなる。受胎時および妊娠初期の血糖コントロール不良が、出生異常および妊娠合併症リスク増加の主な原因となる。
EXPECT試験はインスリンによる治療が行われ、妊娠8~13週であるか、52週以内に妊娠を計画している18歳以上の1型糖尿病女性225例(妊婦144例、妊娠を計画している女性81例)を対象にした非盲検、無作為化試験。
試験には、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ブラジル、カナダ、クロアチア、デンマーク、ギリシャ、アイルランド、イスラエル、イタリア、ロシア、セルビアおよび英国の女性が参加した。
いずれもインスリン アスパルト(ノボラピッド)1日2~4回投与との併用でトレシーバまたはレベミルを投与する群に無作為に割り付けられた。ノボラピッドとレベミルの併用療法は、1型糖尿病合併妊婦に対する標準治療だ。
主要評価項目の解析は分娩前(妊娠16週以降)の最後に予定されている糖化ヘモグロビン(HbA1c)測定値に関して、インスリン デテミルに対するインスリン デグルデクの非劣性(非劣性マージン:0.4%)を、ANCOVAを用いて示すことを目的とした。副次評価項目は母体に関する有効性・安全性アウトカム並びに妊娠アウトカムとした。
低血糖発現率はトレシーバとレベミルの間で差はなし、妊娠アウトカムも同様
試験期間中に171例の新生児が誕生し(インスリン デグルデク投与群86例、インスリン デテミル投与群85例)、周産期死亡(妊娠20週後から分娩後1週間未満)および新生児死亡も報告されなかった。
試験期間中に妊娠した参加者における妊娠ベースライン時の平均HbA1c値は、トレシーバ投与群、レベミル投与群でそれぞれ6.6%、6.5%だった。
分娩前の平均HbA1c推定値は、トレシーバ投与群で6.23%、レベミル投与群で6.34%であり、レベミルに対するトレシーバの主要評価項目の非劣性が検証された。
全体で、妊娠期間中のトレシーバ投与群の低血糖発現率はレベミル投与群と比較して低く、投与群間で臨床的に意義のある低血糖エピソードのリスクの差は認められなかった。
研究では通常妊婦の約20%で発現することが示されている妊娠高血圧腎症は、トレシーバ投与群の14%、レベミル投与群の8.2%と報告され、いずれの投与群でも特定のイベントのクラスターや安全性の懸念は認められなかった。また、トレシーバ投与群で試験参加者の投与中止につながる有害事象は認められなかった。
「1型糖尿病の女性は、血糖コントロールに関連する合併症を心配することなく、健康で喜びに満ちた妊娠ができるという自信を持つ必要があります。私たちがそうした女性をサポートできる治療選択肢を継続的に研究することは極めて重要です」と、同社では述べている。
57th annual meeting of the European Association for the Study of the Diabetes (EASD)
Maternal efficacy, safety, and pregnancy outcomes with degludec vs detemir in the treatment of pregnant women with type 1 diabetes: an international, multicentre, randomised trial.
Pre-Eclampsia in Women with Type 1 Diabetes, Diabetology or Pregnancy(Karger Journals 2005年8月8日)