基礎インスリンとGLP-1の配合剤「ソリクア」 日本人成人2型糖尿病での実臨床下での有効性と安全性を確認 糖尿病学会で発表

2022.05.18
 日本人成人2型糖尿病の実臨床下での「ソリクア」の有効性と安全性を評価した「SPARTA Japan」の研究結果が、2022年5月に開催された第65回日本糖尿病学会年次学術集会で発表された。

 ソリクアは、経口血糖降下薬(OAD)で血糖コントロール不十分な集団では、平均HbA1cがベースライン時の9.10%から7.84%(投与後6ヵ月時点)と有意に1.27%改善するなど、同剤がOADでは血糖コントロール不十分な患者への最初の注射薬として有効な選択肢であることが示唆された。

「ソリクア」の日本人成人2型糖尿病に対する有効性・安全性を示す国内初のリアルワールドエビデンス「SPARTA Japan」

 サノフィは、実臨床下での日本人成人2型糖尿病での「ソリクア」の有効性と安全性を評価した、国内初*のリアルワールドエビデンスである「SPARTA Japan」の研究結果が、2022年5月に開催された第65回日本糖尿病学会年次学術集会で発表されたと公表した。
* 持効型溶解インスリンアナログ製剤/GLP-1受容体作動薬の配合剤で

 ソリクアは、基礎インスリン製剤(持効型溶解インスリン)の「インスリン グラルギン(ランタス注)」とGLP-1受容体作動薬の「リキシセナチド(リキスミア皮下注)」を、日本人2型糖尿病患者の病態と治療実態を考慮して、日本独自の配合比(1単位:1μg)で開発された固定比率配合剤(FRC)。日本人の病態に合わせて、1日1回の投与で、空腹時血糖と食後血糖を同時にコントロールし、HbA1cを改善することを目指した薬剤。

 これまで、3つの国内第3相ランダム化比較臨床試験により、経口血糖降下薬や基礎インスリン製剤で効果不十分な日本人成人2型糖尿病に対するソリクアの有効性および安全性が示されている。

 「SPARTA Japan」研究は、日本の臨床診療下でのソリクアの有効性・安全性を評価することを目的に行われた、FRCでの国内初のリアルワールドエビデンス。同研究は、単一群、多施設共同の後ろ向き観察研究で、データ収集時点から6ヵ月以上前にソリクアの投与を開始した日本人成人2型糖尿病患者460例を目標対象者数とした。

 観察期間はソリクア投与開始後6ヵ月間とした。主要評価項目はベースラインからソリクア投与6ヵ月後のHbA1cの変化量とし、その他、HbA1c管理目標値の達成率、体重の変化量、安全性評価として低血糖および胃腸障害の発現率を評価した。

 主な結果は以下の通り――。

  • 全体での解析症例は432例で、ベースライン時の平均HbA1cは8.96%から8.12%(投与後6ヵ月時点)と有意に0.85%改善し、HbA1c 7.0%未満の達成率は18.5%だった。

  • 投与開始6ヵ月後の体重はベースライン時の平均71.8kgから0.5kg減少した。

  • 低血糖の発現は60例(14.4%)に認められ、発現率は0.78件/人年だった。重症低血糖の報告はなかった。また胃腸障害の発現は68例(16.3%)に認められ、発現率は0.51件/人年であり、多くの事象は投与開始後3ヵ月以内に発現し、軽度・中等度のものだった。

 また、今回の学術集会では、予め設定されていた5つのサブグループの解析結果も発表された。そのなかでも、経口血糖降下薬(OAD)で血糖コントロール不十分な集団での解析から、OADで効果不十分な日本人2型糖尿病患者に対する新規注射薬導入として、ソリクアは有用な治療選択肢となる可能性が示唆された。

 OADで血糖コントロール不十分な集団の主な解析結果は以下の通り――。

  • ベースライン時の平均HbA1cは9.10%から7.84%(投与後6ヵ月時点)と有意に1.27%改善し、HbA1c 7.0%未満の達成率は34.1%であり、年齢別のHbA1c管理目標値の達成率も同様に改善傾向を認めた。

  • 前治療でのDPP-4阻害薬の使用有無によらず、一貫した効果が認められた。

  • 投与開始6ヵ月後の体重はベースライン時の平均70.1kgから0.2kg減少した。

  • 低血糖の発現はベースラインと比べて増加したものの、発現率はSPARTA Japan研究での全集団と同様だった。また胃腸障害の発現率も全集団と同様だった。

 今回の結果について、横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授でSPARTA Japan研究の運営委員長である寺内康夫先生は、次のように述べている。
 「今回のSPARTA Japan研究で得られたリアルワールドエビデンスは、これまでのソリクアの国内第3相臨床試験で認められた有効性と安全性を裏付ける、リアルワールドでのソリクアの有用性を示唆するものでした。サブグループ解析の結果からも、ソリクアは、経口血糖降下薬で血糖コントロールが不十分な、日本人2型糖尿病患者に対する最初の注射薬として有効な選択肢である可能性が示唆されています」。

 ソリクアは、基礎インスリン製剤(持効型溶解インスリン)の「インスリン グラルギン(ランタス注)」とGLP-1受容体作動薬の「リキシセナチド(リキスミア皮下注)」が配合された、1日1回皮下投与の新医療用配合剤。インスリングラルギンが主に空腹時血糖をコントロールするのに対して、リキシセナチドは主に食後血糖をコントロールする。

 海外では、インスリン グラルギンとリキシセナチドが3単位:1μgおよび、2単位:1μgの配合比の製剤が承認されているが、日本では、日本人の2型糖尿病患者のインスリン グラルギン製剤とリキシセナチド製剤の治療実態などを考慮して、日本独自の配合比1単位:1μg配合(インスリン グラルギン100単位/mL・リキシセナチド100μg/mL)として開発された。

ソリクア配合注ソロスター 特設情報 (サノフィ 医療関係者向け情報サイト)

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[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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