米国で処方箋を要さないOTCのCGMが登場 FDAが認可 CGMは血糖モニタリングに役立つ強力なツール

2024.03.13
FDAがOTCとしてはじめてCGMを認可

 米食品医薬品局(FDA)は3月5日、処方箋を要さずに個人の判断で購入できる、OTCの連続血糖測定(CGM)システムの販売を許可した。インスリン療法を行っていない18歳以上の2型糖尿病患者などの利用が想定されている。

 OTCのCGMシステムのFDA認可はこれがはじめてであり、今夏にもオンライン販売が開始される予定という。

 今回FDA認可を受けた製品は、Dexcom社の「Stelo」というCGMシステム。同社からFDAに提出された臨床研究データを検討した結果、このシステムはすでに医家向けに認可されているCGMと同様に機能することが確認されたという。

 腕などの皮下に留置したセンサーで15分ごとに細胞間質液中の糖濃度を測定し、血糖値に換算するシステムであり、測定結果は血糖変動のトレンド(血糖値が低下中か上昇中か)とともに専用のアプリに表示される。センサーは最長15日間使用可能。

 本製品の使用対象には、年齢が18歳以上であれば、経口薬で血糖管理を行っている糖尿病患者だけでなく、食事療法や運動療法の理解を深めようとする糖尿病でない人も含まれるという。

 ただし、この製品に関する重要な情報としてFDAは、低血糖を警告する機能はないことに注意を喚起している。つまり無自覚性低血糖など、問題のある低血糖が起こりうる状態の人向けの製品ではない。

 そのほかにもFDAは、本製品のユーザーが示された血糖値の情報を根拠として、医療提供者に相談せずに医療上の決定を下すべきではないとも強調している。なお、臨床研究時に報告された有害事象としては、局所感染、皮膚刺激、痛みや不快感などが挙げられる。

 今回の認可に当たり、FDAの医療機器・放射線保健センター(CDRH)センター長のJeff Shuren氏は、「CGMは血糖値のモニタリングに役立つ強力なツールとなりうる。今回の認可によって、医療提供者の関与なしに個人がCGMを購入できるようになり、これらの機器の利用機会が拡大する。医師へのアクセスの良否や健康保険への加入状況にかかわりなく、より多くの人々が自分の健康に関する貴重な情報を入手できる環境が整備されることは、米国内の患者の健康の公平性を高める上で重要な前進である」と述べている。

 Dexcom社によると、米国にはインスリンを使用していない2型糖尿病患者が2,500万人以上存在するという。

 同社が販売している「G7」というタイプのCGMシステムは、米国でインスリンを用いていない2型糖尿病患者も使用可能だが、使用に際して医師の処方箋を必要とする。処方箋を要さないOTCのCGMの登場によって、米国におけるこのような状況が変化することになる。

[HealthDay News 2024年3月6日]

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