体重管理のためのGLP-1受容体作動薬「Wegovy」 肥満患者を対象とした2年間の試験で体重を有意かつ持続的に減少
セマグルチド2.4mgによる2年間の治療後でも、有意かつ持続的な15%の体重減少を確認
体重管理のためのGLP-1受容体作動薬「Wegovy」(セマグルチド2.4mg)は、現在、米国および英国のみで食事および運動療法に対する補助療法としての体重管理のための薬剤として承認されており、欧州医薬品庁(EMA)およびその他の規制当局で承認審査中。肥満症を適応としたセマグルチド2.4mg皮下投与製剤は日本では未承認。
STEP 5試験は、無作為割り付け、二重盲検、プラセボ対照の第3b相試験。この試験では、2型糖尿病ではない肥満の成人304例を対象に、持続的な体重減少(2年間)に対する生活習慣の介入(–500kcal/日の食事、150分/週の身体活動)に加えて、セマグルチド2.4mg投与による効果が検討された。被験者は104週間のセマグルチド2.4mgの週1回皮下投与群、またはプラセボ投与群に1:1の比率で無作為に割り付けられた。
同試験の主要評価項目は、ベースラインから104週の体重の変化率(%)および5%以上の体重減少を達成した被験者の割合だった。主な副次的評価項目は、ベースラインから104週の10%以上または15%以上の体重減少を達成した被験者の割合、またはベースラインから104週のウェスト周囲長および収縮期血圧の変化量だった。
同試験では、カロリー制限食の摂取および身体活動の増加に加えて、Wegovyを投与した群ではベースラインから104週後で、プラセボ投与群と比較して有意な体重減少がみられた(-15.2% vs. -2.6%、治療間差の推定値:-12.6%ポイント [95%信頼区間:-15.3、-9.8]、p<0.0001)*。 * 治療方針estimandの結果にもとづく
また、成人の過体重または肥満患者で、Wegovy投与群ではプラセボ投与群と比較してより高い割合で少なくとも5%の体重減少が認められた(77.1% vs. 34.4%、p<0.0001)。
アラバマ大学バーミンガム校栄養学部教授のティモシー ガーベイ医師は次のように述べている。
「肥満を抱える人々は、医学的な治療を受けるまでに平均7回、体重減少を試みています。しかしながら、一度体重が減少しても元に戻ってしまうことが非常に多いため、肥満を抱える人が体重を減らし、それを維持するための選択肢を見つけることが極めて重要です。STEP 5試験の結果は、肥満の成人がWegovy投与による治療で体重減少を達成し、2年後も体重減少を維持していたことを示しました。これは、我々にとって慢性疾患である肥満をより適切に治療・管理する一助となりえます。」
STEP(肥満患者におけるセマグルチドの治療効果)は、肥満患者を対象としたセマグルチド2.4mgの週1回皮下投与による第3相臨床開発プログラム。第3a相グローバル臨床プログラムは過体重または肥満の成人約4,500名を登録した4つの試験で構成されている。STEP試験では、主要estimand(治療方針estimand)により、治療の遵守または他の抗肥満治療の開始の有無に関わらず効果を評価している。副次的estimand(治験薬estimand)では、すべての人々が治療を遵守し、他の抗肥満治療を開始しなかったと仮定した場合の効果を評価している。
Two-year Effect of Semaglutide 2.4 mg vs Placebo in Adults with Overweight or Obesity (STEP 5)
Semaglutide 2.4 mg for the Treatment of Obesity: Key Elements of the STEP Trials 1 to 5(Obesity 2020年5月22日)
Two-year Research Study Investigating How Well Semaglutide Works in People Suffering From Overweight or Obesity (STEP 5)(ClinicalTrials.gov)