小児集団検診で発症前1型糖尿病の特定が可能

2026.06.17
膵島関連自己抗体をスクリーニングする集団検診によって、1型糖尿病(T1DM)発症リスクの高い小児を早期に特定できることが明らかになった。発症前段階の小児を5年間追跡した結果、T1DMの家族歴の有無は発症リスクと関連がないことも示された。ドイツ環境健康研究センターのChristiane Winkler氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA」に5月21日掲載された。

 T1DMの発症後は、生涯にわたりインスリン治療が必要となるため、患者本人と家族の負担が大きい。このため、T1DMリスクのある個人、特にT1DM好発年齢の小児を対象に、疾患修飾療法により1型糖尿病の自然歴を変更し、発症を遅延させる試みが続けられている。この試みにおいてはT1DM未発症段階の小児を特定することが不可欠であり、集団ベースのスクリーニングプログラム確立が必要となる。

 以上を背景としてWinkler氏らは2015年2月~2025年7月に、ドイツのバイエルン州に住む小児を対象とするT1DMのスクリーニングを実施した。この研究では、発症前T1DM(ステージ1〔自己抗体陽性で正常血糖〕、ステージ2〔血糖異常〕)の有病率と、その状態からの臨床的なT1DM(ステージ3〔臨床的に診断された1型糖尿病〕)への移行率を検討した。

 このスクリーニングは716人の小児科医によって実施された。初回のスクリーニングは1.75~5.99歳の小児を対象とし、その後、年齢範囲を1.75~10.99歳に拡大して、一部の小児では2回目のスクリーニングも実施された。自己抗体として、インスリン、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、膵島抗原-2(IA-2)、亜鉛トランスポーター8(ZnT8)に対する抗体を評価し、これらのうち2種類以上が陽性の場合を、発症前T1DMと判定した。該当する小児とその家族は、糖尿病専門医療機関で糖尿病教育と継続的モニタリングを受けた。

 初回スクリーニングでは、22万476人の小児(年齢中央値3.1歳〔四分位範囲2.2~5.0歳〕、女児48.7%)のうち、590人が発症前T1DMと診断された(調整済み有病率0.3%〔95%信頼区間0.28~0.32〕)。病期別では、ステージ1が0.23%、ステージ2が0.06%であった。中央値3.3年の観察後に1万1,726人の小児に対して2回目のスクリーニングを実施したところ、新たに29人が発症前T1DMと診断された。

 中央値5.7年の追跡期間中に、初回スクリーニングで診断された212人と、2回目のスクリーニングで診断された5人、および発症前T1DMと診断されていなかった43人が、臨床的(ステージ3)T1DMを発症した。発症前T1DMから臨床的T1DMへの進行率は5年間で36.2%(同31.2~40.8〔年率9.6%〕)であった。

 臨床的T1DMへの移行率を、第一度近親者の糖尿病の家族歴の有無で比較したところ、有意差は認められなかった(P=0.54)。Winkler氏は、「これらのデータは一般集団を対象にT1DMのスクリーニングを行うことが、理にかなっていることを意味している。T1DMの家族歴のある子どもだけを対象とした場合、ステージ3のT1DMを発症し得る子どもの多くを見逃してしまうことになる」と述べている。

 なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

[HealthDay News 2026年6月2日]

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