【新型コロナ】感染拡大の影響で食生活も変化 食事改善への関心は高いが実行がともなわない 食育を紹介したピクトグラムを作成
関心がある人は8割強 7割が「栄養バランス」に興味あり
農林水産省の2021年度「食育に関する意識調査」は、2020年12月に全国20歳以上の男女5,000人を対象に実施された(有効回収数は2,395人)。
調査では、食生活の改善については全体として関心は強いものの、とくに若い世代では実行がともなわない現状が浮き彫りになった。
食育に対して「関心がある」と答えた人は83.2%に上った。性別にみると、「関心がある」と回答した割合は、女性では87.8%、男性では77.1%だった。
20~39歳の若い世代でも、「関心がある」という人は低下する傾向があるものの、それでも7割を超えている。男性の20代では「関心がない」という人は27.3%にに上るが、年齢が上がるのにつれ関心をもつ人は増えていき、40代では77%に上る。
「今後1年間にどのようなことを食育として実践したいと思うか」という問いでは、「栄養バランスのとれた食生活を実践したい」(70.8%)、「健康に留意した食生活を実践したい」(62.5%)、「食べ残しや食品の廃棄を削減したい」(59.9%)、「規則正しい食生活を実践したい」(52.1%)、「食品の安全性について理解したい」(45.0%)という回答が多かった。
主食・主菜・副菜を揃えている人は36%
今後1年間食育として実践したいことについて、女性は男性より多くの項目を選択した。20~39歳の若い世代の女性では、「栄養バランスのとれた食生活を実践したい」「家族や友人と食卓を囲む機会を増やしたい」「調理方法・保存方法を習得したい」「自分で調理する機会を増やしたい」「食事の正しい作法を習得したい」を挙げた人も多い。
しかし、健康な食生活を実践することを「心がけている」という人の割合は全体で75.7%に上る一方で、「主食・主菜・副菜を3つそろえて食べることが1日に2回以上ある」が「ほぼ毎日」の人の割合は36.4%にとどまる。
また、ふだん朝食を「ほとんど毎日食べる」という人の割合は全体では81.3%だが、男性では20代で59.7%、30代で63.2%、40代で67.9%と低い傾向がみられる。
年齢を上がるにつれ「食生活改善」を実施している人は増える
「生活習慣病の予防や改善のために、ふだんから適正体重の維持や減塩などに気をつけた食生活を実践している」という人は全体で64.3%と3分の2に上った。
生活習慣病の予防や改善に関する実践について、「実践している」と回答した人の割合は、男性 57.7%、女性 69.2%となり、関心が高いことが示されている。
また、年代別にみると、男性(40代 44.3%、50代 55.6%、60代 61.5%)、女性(40代 58.1%、50代 63.8%、60代 77.8%)となり、男女とも年齢を重ねるにつれ「実践している」割合は高くなる。
新型コロナの拡大により家庭の食卓にも変化が
新型コロナの拡大は、家庭の食卓にも影響を及ぼしている。新型コロナの拡大前に比べて、食生活の変化が「増えた・広がった」と答えた人では、変化したものとして「自宅で食事を食べる回数」(35.5%)、「自宅で料理を作る回数」(26.5%)、「家族と食事を食べる回数」(20.0%)を挙げた人が多かった。
逆に、食生活の変化が「減った・狭まった」と回答した人では、変化したものとして「おいしさや楽しさなど食を通じた精神的な豊かさ」(7.8%)を挙げた人が多かった。
また、「変わらない」と回答した人では、「規則正しい食生活リズム」(82.5%)、「栄養バランスのとれた食事」(80.2%)を挙げた人が多かった。
食育の取り組みを表現した食育ピクトグラムを作成
このように食育に関心をもっている人は、それぞれの年代で大多数に上るが、食事改善の実行がともなっていない人も多い。
そこで、農林水産省は、食育の取り組みを分かりやすく表現したピクトグラムを作成した。ため、表現を単純化した絵文字であるピクトグラムを、多くの人に利用してもらい、子供から大人まで食育の取り組みを理解してもらうことを期待している。
食生活指針も参考に、食育推進基本計画の1次から3次まで目標に掲げ、第4次計画も重点事項に取り上げ、普遍的に取り組むべき項目から選択しているという。
この食育ピクトグラムは、小売店での店頭、学校の教育現場、食育を行う際の啓発資材、商品の包装への印刷などのさまざまな場面で活用できる。
食育の情報発信、普及・啓発のために利用される
食育に関する意識調査(農林水産省)
食育ピクトグラム及び食育マークのご案内(農林水産省 2021年10月20日)
考える やってみる みんなで広げる ちょうどよいバランスの食生活(農林水産省)