世界最小・最薄のCGMや非侵襲的でウェアラブルな糖尿病アラートシステムなど 米CESで発表

2022.01.07
 全米民生技術協会が主催する「コンシューマー エレクトロニクス ショー(CES)」が1月5~7日に米国で開催され、糖尿病ケアに役立てられる新たな電子デバイスが発表されている。

 世界最小・最薄の持続血糖モニター(CGM)や、非侵襲的でウェアラブルな糖尿病アラートシステムなど、近い将来に日本でも利用できるようになることが期待されるデバイスもある。

 米国のアボットは、同社の「FreeStyle Libre 3」が、2022年のCESでイノベーションアワードを受賞したと発表した。FreeStyle Libre 3センサーは、世界最小・最薄の持続血糖モニター(CGM)で、シンプルさと使いやすさに重点を置いて設計されており、最大14日間使用できる。血糖値と高い相関関係にあるグルコース値をリアルタイムで測定し、利用者のスマホに直接送信する。こうした最新のテクノロジーを手頃な価格で必要な人々に提供するのが同社の目標であり、「FreeStyle Libre 3」の価格は以前のバージョンと同じに設定しているという。

Abbott U.S.
CES Honors Abbott Health Tech at Innovation Awards(Abbott U.S. 2021年12月13日)

 AerBeticは、非侵襲的でウェアラブルな糖尿病アラートシステムを開発している。最新のナノテクノロジーによる微細なエアセンサーにより、患者の呼気や手首の皮膚を通じて、血中のグルコース値をリアルタイムで判定し、低血糖および高血糖のエピソードを検出する。ブレスレットやペンダントなどのウェアラブルデバイスとして使用でき、スマホアプリと組み合わせることで、患者や介護者に即時にアラートを発信する。"糖尿病アラート犬"が敏感な嗅覚により、1型糖尿病患者の主に低血糖イベントを感知し、患者や家族に知らせることにヒントを受け、開発に着手したという。2020年のCESで、イノベーションアワードを受賞した。

AerBetic

 Xenomaは、東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授の研究成果を実用化するために設立されたスタートアップ。自由に変形・伸縮する、世界初の布状電子回路基板(PCF)を開発し、これをさまざまなセンサーを搭載したスマートウェア「e-skin」を開発しており、2020年のCESでイノベーションアワードを受賞した。e-skinは高い伸縮性・引張耐久性・洗濯耐性をもち、普通の衣服と変わらぬ着心地で、着るだけで装着者の動きや心拍などを高精度に、またリアルタイムに測定することができる衣服。すでに睡眠を見守るパジャマ「e-skin Sleep」、フィットネスを効率化する「e-skin EMStyle」、乳幼児のうつぶせ寝を見守るセンサーシステム、モーションキャプチャシステム「e-skin MEVA」などが販売されている。

Xenoma

 クォンタムオペレーションは、連続測定可能な非侵襲血糖センサーのプロトタイプを、2年ぶりにリアル開催されたCESに出品したと発表した。LEDセンサーおよびフォトダイオードを駆使し、非侵襲で血糖値データの取得を可能としたセンサーで、同社独自のスペクトラム安定化技術、ノイズ除去技術により、高い精度で、再現性のあるデータを取得できるとしている。昨年の展示では食前食後の血糖値の変化を捉えることに成功しており、患者を穿刺による血糖測定の負担から解放することを目指している。

クォンタムオペレーション

 スリー・アールシステムは、腹部にあてるだけで3秒で内臓脂肪レベル・皮下脂肪レベル・腹部脂肪率を測定できる体脂肪スキャナー「BELLO(ベロ)」の一般販売を開始した。独自のDMW-NIRS(離散多波長近赤外分光法)技術は、近赤外線技術を用いて脂肪密度を測定し、スキャンした皮膚下の脂質を直接定量化するもの。従来の体脂肪計(BIA法)とは違い、体水分量に左右されることなく、正確で一貫した測定結果を得られるとしている。専用アプリからは最新のスキャンデータや週/月のグラフを確認することができ、脂肪と代謝状態を確認したり、健康を追跡・管理することが可能。

スリー・アールシステム

CES International Attendees - CES 2022

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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