糖尿病性足潰瘍のリスクを軽減するインソールを開発 足への圧力を軽減し衝撃を吸収 血流を改善

2024.04.24
 米テキサス大学は、潰瘍、壊疽、足切断につながる糖尿病性足潰瘍(DFU)のリスクを軽減する新しい靴のインソール(中敷き)を開発したと発表した。研究成果は、査読付き論文として「International Journal of Lower Extremity Wounds」に掲載された。

足の負荷軽減機能のあるインソールを開発 足潰瘍を予防

 開発したのは、靴のなかで足のさまざまな領域に対する圧力を周囲的に軽減する機能のある圧力オルタネイトインソールで、足にフィットしやすく、除圧の効果があり、軟部組織への衝撃から解放し、足の血流を改善するとしている。

 「DFUの主要な原因になる、歩行中に足に繰り返されるストレスによる、皮膚と軟部組織の損傷のリスクを軽減するために、革新的な技術をもちいてインソールを開発した」と、同大学アーリントン研究所生物医学技術部門の主任研究員である Muthu Wijesundara氏は言う。

 研究グループが開発したインソールは、エアセル配列インソールと空気圧制御ユニットで構成されており、足の負荷軽減機能があるとしている。なお、エアセルは足全体の減圧に大きく影響し、ユーザーの体重にもとづいて選択する必要がある。

 界面圧力を、3つの異なるエアセル内圧で静的および動的条件で評価し、足底界面圧を圧力システムを使用し測定したところ、静圧データ分析では足の親指、中足骨骨頭、かかとの領域でセルの最高圧力は有意に減少し[p <0.05]、足の親指領域の最大平均差は12.9kPaであることが示された。

 同様に、動圧データ分析では、周囲的なオフロードにより最高圧力は大幅に減少し[p <0.05]、足の親指領域の圧力の最大平均差は36.98kPaであることが示された。

 「これまで、足潰瘍による障害を軽減するための靴のインソールは多く作られてきたが、潰瘍の予防効果はわずかであることが示されている」と、Wijesundara氏は述べている。

 米国で糖尿病患者が生涯のうちにDFUを発症する可能性は19%~34%で、足潰瘍の合併症などにより年間16万件以上の下肢切断が行われており、早期死亡の原因になっており、年間に300億ドル(4.7兆円)の医療コストが発生しているとしている。

 「糖尿病性足潰瘍が患者のQOLにもたらす深刻な影響を考えると、そのリスクを軽減することの意義は大きい」としている。

Shoe technology reduces risk of diabetic foot ulcers (テキサス大学アーリントン校 2024年4月19日)
Development of Cyclic Pressure Offloading Insole for Diabetic Foot Ulcer Prevention (International Journal of Lower Extremity Wounds 2024年2月29日)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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