GIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド」を2型糖尿病治療薬として開発 日本イーライリリーと田辺三菱製薬が提携契約
2022.07.08
日本イーライリリーと田辺三菱製薬は、日本イーライリリーが開発中の週1回投与GIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド」について、国内での販売提携契約を締結した。
GIPとGLP-1の両インクレチンの作用を単一分子に統合 米国では2022年5月に承認取得
「チルゼパチド」は、日本イーライリリーが2型糖尿病治療のために開発している新しいクラスの治療薬。GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の両インクレチンの作用を単一分子に統合した、新規の週1回投与GIP/GLP-1受容体作動薬(注射剤)。
同剤は、米国ではすでに成人2型糖尿病治療での血糖コントロール改善のための食事および運動療法の補助療法として、2022年5月に米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得している。
同契約にもとづき、日本イーライリリーが同剤の製造販売承認を取得後、田辺三菱製薬が流通・販売を行い、両社で情報提供活動を共同で行う。両社が協働することで、幅広い医療機関の医療従事者に適正使用情報を提供し、同剤を必要とする患者に迅速に届けられるようになるとしている。
「チルゼパチド」は、2型糖尿病、肥満症や過体重および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療薬として研究されている。
前臨床モデルで、GIPは食物摂取量を減少させエネルギー消費を増加させることが示されているため、体重の減少をもたらすと考えられる。また、GLP-1受容体作動薬と併用することで、グルコースと体重に対してより大きな効果をもたらす可能性がある。
なお、「チルゼパチド」は日本では下記の第3相試験などが進行中。
- 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者を対象にtirzepatideの有効性及び安全性をプラセボと比較する無作為化、二重盲検、プラセボ対照第2相試験
- 2型糖尿病を有していない、肥満被験者又は体重に関連した併存疾患を有する過体重の被験者を対象としたtirzepatide 週1回投与の有効性及び安全性:無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験(SURMOUNT-1)
- 2型糖尿病患者における主要心血管イベントに対するtirzepatideの影響のデュラグルチドとの比較(SURPASS-CVOT)
下記の試験については完了している。
- メトホルミンの併用又は非併用下におけるインスリングラルギンでコントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象にtirzepatideを追加したときの影響をプラセボと比較する無作為化、第3相、二重盲検試験(SURPASS 5)
[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]