がん主治医・糖尿病専門医を対象にアンケートを実施 日本糖尿病学会など「糖尿病と癌に関する合同委員会報告 第3報」
がん主治医と糖尿病専門医の認識の共通を確認
日本糖尿病学会と日本癌学会は、専門家による糖尿病と癌に関する合同委員会を設立し、医師・医療者への提言および国民一般(患者を含む)への提言として、2013年に「糖尿病と癌に関する委員会報告」を発表。2016年には「糖尿病と癌に関する委員会報告 第2報」を発表し、糖尿病患者での血糖管理とがん罹患リスクについての検討をまとめた。
第3報となる委員会報告では、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会との拡大委員会を設置し、がん主治医として診療にあたる医師と糖尿病専門医として、血糖コントロールを担当する医師に対して実施したアンケート調査「がん治療中の糖尿病管理に関する医師の意識調査」の結果を報告している。
化学療法・放射線療法など、非外科的治療中の糖尿病合併がん患者の血糖コントロールの目標や実際について、がん専門医および糖尿病専門医に対して、がん患者の血糖コントロールに対する考え方の相違を明らかにすることを目的に、アンケート調査を実施。回答数は、日本癌治療学会 119人、日本臨床腫瘍学会 226人、日本糖尿病学会 1,051人。
その結果、がん主治医と糖尿病専門医とのあいだで、血糖コントロール目標、血糖コントロールの重要性、化学療法中の血糖コントロールに際するガイドラインの必要性などについて、認識が共通していることなどが明らかになった。
がん主治医と糖尿病内科医のさらなる連携に期待
同委員会によると、日本の糖尿病患者の死因第1位はがんで、38.3%を占め、糖尿病経過中になんらかのがんを併発する患者の割合はさらに高いと推定される。また、がん患者に糖尿病を併存する割合は20.7%としており、一般の糖尿病有病率よりも高いと推定している。
がん患者の糖尿病管理に関わる意向について、がん主治医では「糖尿病内科医に任せたい」、糖尿病内科医では「関わりたい」と考えている医師が多いことも示された。がん主治医と糖尿病内科医のさらなる連携をはかることが期待できる結果としている。
糖尿病合併がん患者の血糖コントロールを行っている医師は、インスリン治療中の場合、「院内の糖尿病科/内分泌科医師」と回答した医師がもっとも多く、腫瘍内科医 74.6%,腫瘍外科医 74.4%,糖尿病内科医 82.4%という結果になった。
空腹時血糖値については、いずれの医師でも「150mg/dL未満」と回答した人がもっとも多く、腫瘍内科医 54.5%、腫瘍外科医 62.0%、糖尿病内科医 77.0%だった。
随時血糖値については、いずれの医師でも「200mg/dL未満」と回答した人がもっとも多く、腫瘍内科医 46.0%、腫瘍外科医 54.5%、糖尿病内科医 42.3%だった。
HbA1cについては、腫瘍内科医と腫瘍外科医は「7.0%未満」と回答した人がもっとも多く、それぞれ42.0%、47.1%で、糖尿病内科医は「7.5 %未満」と回答した人が32.8%ともっとも多かった。
この「糖尿病と癌に関する合同委員会報告 第3報-がん主治医・糖尿病専門医へのアンケート調査より-」の詳細は、日本糖尿病学会のホームページで公開されている。