慢性心不全治療薬「ベリキューボ錠」の承認を取得 慢性心不全の適応で承認された初のsGC刺激剤

2021.06.30
 バイエル薬品は、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤「ベリキューボ錠」(一般名:ベルイシグアト)の承認を取得したと発表した。
 同剤は、慢性心不全の適応ではじめて承認されたsGC刺激剤。とくに入院や利尿薬の静脈内投与が行われるなど、最近心不全の増悪を経験した患者のさらなる悪化のリスクを減らすために研究された。

慢性心不全の適応で承認された初のsGC刺激剤

 ベリキューボ錠2.5mg、同5mg、同10mgは、「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準治療を受けている患者に限る。」を効能・効果とし、2020年3月に「New England Journal of Medicine」に発表された第3相臨床試験VICTORIAで得られた結果にもとづき承認された。

 ベリキューボ錠2.5mg、5mg、10mgは、1日1回経口投与の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤であり、sGCは一酸化窒素(NO)のシグナル伝達経路に重要な役割を果たしている。NOとsGCが結合すると、触媒作用によって細胞内の環状グアノシン一リン酸(cGMP)が合成され、セカンドメッセンジャーとして血管緊張や心筋収縮、心臓リモデリングを制御する役割を担う。

 NOの産生能低下およびsGC活性低下が、心筋や血管の機能不全の原因と考えられ、心不全との関連が示されている。同剤はNOと独立して、かつ相乗的にsGCを直接刺激することで、細胞内cGMPの産生レベルを高める。

 同剤は、今年1月に米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しており、EUでは欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会(CHMP)に承認が勧告されている。

 同剤はバイエル薬品がMSDと共同で開発した。日本の心不全患者数は約120万人にのぼり、今後さらに患者数が伸び、2035年にはピークの132万人に達すると予測されている。

ベリキューボ錠 概要

販売名 ベリキューボ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg
一般名 ベルイシグアト(Vericiguat)
効能・効果 慢性心不全
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
用法・用量 通常、成人にはベルイシグアトとして、1回2.5mgを1日1回食後経口投与から開始し、2週間間隔で1回投与量を5mg及び10mgに段階的に増量する。なお、血圧等患者の状態に応じて適宜減量する。
製造販売承認日 2021年6月23日
製造販売元 バイエル薬品株式会社

Vericiguat in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction(New England Journal of Medicine 2020年3月28日)
バイエル薬品
ベリキューボ錠2.5mg/ベリキューボ錠5mg/ベリキューボ錠10mg 添付文書 インタビューフォーム (医薬品医療機器総合機構)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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