【新型コロナ】2020年度医療費は4.8%減少 糖尿病など内分泌・栄養・代謝疾患は入院外は1.5%増加 健保連
健保組合医療費は2020度は4.8%マイナス
2020度の健保組合医療費の総額は4兆4,112億円で、対前年度比4.8%マイナスの2,235億円の減少となった。調査は、主に大企業の会社員とその家族が加入する健保組合の連合組織である「健康保険組合連合会(健保組合)」が、全国の1,387組合を対象に行ったもの。
診療区分別にみると、医科入院外が6.6%マイナスと大きく減少した。次いで、医科入院が5.8%マイナス、調剤が3.9%マイナスとなった。一方、訪問看護療養費は21.1%の増加となった。
受診率は、医科入院外が12.9%マイナス、調剤が12.8%マイナスと大きく減少。一方、1日あたり医療費は、調剤が13.3%と大きく増加し、次いで医科入院外が8.6%増加、歯科計が6.4%増加となっている。
1人あたり医療費は4.7%マイナスの減少で、医科入院外が6.3%マスなすと大きく減少し、次いで、歯科入院が6.3%マイナス、医科入院が6.0%マイナスとなっている。受診率も11.9%マイナスの減少。医科入院外が13.0%マイナスと大きく減少し、次いで調剤が12.9%マイナス、医科入院が12.2%マイナスとなっている。
1人あたり医療費 内分泌・栄養・代謝疾患は1.5%増加
疾病19分類別に1人あたり医療費をみると、新生物が1万5,383円と最も高く、次いで内分泌・栄養・代謝疾患が1万2,274円、循環器系疾患が1万2,205円、消化器系疾患が9,470円となっている。
疾病19分類別1人あたり医療費の伸び率は、呼吸器系疾患が34.9%マイナスと大きく減少。次いで、耳・乳様突起疾患が17.2%マイナス、感染症・寄生虫症が16.2%マイナスとなった。
一方、皮膚・皮下組織疾患は5.8%の増加。次いで血液・造血器・免疫障害が4.2%の増加、神経系疾患が3.3%の増加となった。内分泌・栄養・代謝疾患も1.5%増加した。
医科入院外での1人あたり医療費は、内分泌・栄養・代謝疾患が1万1,440円ともっとも高く、呼吸器系疾患は1万635円、新生物は9,051円となった。
医科入院外の対前年度比伸び率は、呼吸器系疾患が34.9%マイナスと大きく減少。次いで耳・乳様突起疾患が16.4%マイナス、感染症・寄生虫症が15.9%マイナスとなった。
一方、血液・造血器・免疫障害は8.6%と増加。次いで皮膚・皮下組織疾患が6.5%の増加、神経系疾患が6.4%の増加となった。内分泌・栄養・代謝疾患も2.5%増加した。
医科入院では、対前年度比伸び率はすべての疾患で減少した。とく呼吸器系疾患は34.6%マイナスと大きく減少し、次いで耳・乳様突起疾患が21.5%マイナス、感染症・寄生虫症が18.1%マイナスとなった。内分泌・栄養・代謝疾患も9.8%減少した。
コロナ収束後には患者の受療行動は「元に戻る」か?
医療費全体、市町村国保、後期高齢者医療制度でも、「コロナ感染症という特殊事情により一時的な医療費減」が生じている。コロナ収束後には患者の受療行動は「元に戻る」と推測されているが、今後の状況を注視していく必要がある。
2020年度は新型コロナウイルス感染症により、患者減と医療費減が生じた。入院では、「コロナ感染拡大を防ぎ、コロナ患者対応に注力するため」に予定入院・予定手術の延期が行われ、またコロナ重症患者に対応するための「病棟一部閉鎖」なども行われた結果、「入院患者の減少 → 入院医療費の減少」が生じた。
外来では、コロナ感染を恐れた患者サイドの受療控え、マスク着用や手洗いの徹底などの衛生面向上による一般感染症の減少などが生じた結果、「外来患者の減少 → 外来医療費の減少」が生じた。
厚生労働省の調査でも、2020年度の医療費は、コロナ感染症の影響により、前年度に比べて1兆4,000億円(3.2%)減少し、42兆2,000億円となったことなどが明らかになっている。