大量飲酒+空腹時高血糖で肝繊維化リスクが2.4倍に上昇 糖尿病になる前に脂肪肝に

2025.03.26
飲酒+心血管リスク因子で肝繊維化リスクが約2倍

 心血管代謝リスク因子(CMRF)を有する飲酒者の肝繊維化リスクに関するデータが報告された。米南カリフォルニア大学ケック医学校のBrian Lee氏らの研究の結果であり、詳細は「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に2月3日掲載された。

 この研究によると、腹部肥満や血糖高値、高血圧というCMRFのある大量飲酒者(男性30g/日以上、女性20g/日以上)は、肝繊維化の進行と肝硬変の存在を示唆する、FIB-4 indexが2.67超のオッズ比が約2倍高いことが明らかになった。

 論文の筆頭著者であるLee氏はCNNの取材に対して、「この結果は飲酒以外の健康状態が肝臓に与える影響の大きさを示しており、肝疾患リスクが特に高い集団の特定につながる」と答えている。また、本研究には関与していない米ナショナル・ジューイッシュ・ヘルスのAndrew Freeman氏は、「大半の人は気付いていないが、例えば糖尿病になる前にまず脂肪肝になることが多い」と話している。

 この研究は、2001~2020年の米国国民健康栄養調査(NHANES)参加者のうち、20歳以上で飲酒量などのデータのある4万898人を対象に行われた。このうち2,282人が大量飲酒者だった。

 性別、人種/民族、喫煙などを調整した多変量解析で、大量飲酒者に腹部肥満があるとFIB-4 indexが2.67超であることのオッズ比(OR)が1.8[95%信頼区間1.0~3.0]、空腹時高血糖があるとOR 2.4[同 1.4~4.2]、高血圧があるとOR2.4[1.3~4.3]であることが分かった。

 CNNの取材に対してFreeman氏は、「人々は、すべきではないことをして自ら疾患のリスクを高めている。例えばスポーツを見ながらホットドッグ、ソーセージ、ベーコンなどを食べる人が少なくないが、これらの加工肉は発がんリスクという点ではタバコと同じようなものだ」と解説。

 同氏によると、高度に加工された高脂肪高糖質の食品を摂取後には、インスリンが過剰に分泌され、やがてインスリン抵抗性が生じる。この過程で、脂肪肝や高血糖も起きてくるという。そして、「このような人が飲酒をすると、リスクはさらに増大する」と語っている。

 Lee氏は、「肝臓への脂肪の沈着とアルコールの影響という二重の負荷が、慢性疾患を有する大量飲酒者の肝障害リスクが高い原因ではないか」と指摘。さらにアルコール自体も肝細胞にダメージを与えて炎症や繊維化を引き起こすことが知られていて、時間の経過とともに肝硬変や肝臓がんへと進行する可能性がある。

 同氏も、「腹部肥満でない、または糖尿病や高血圧ではないからといって、大量に飲酒しても安全だということではない」と付け加えている。「アルコールは肝臓にとって有害であり、大量飲酒者は重度の肝疾患のリスクがあることは明らかだ」という。

 今年1月、米国公衆衛生局長官(当時)のVivek Murthy氏は、飲酒によるがんリスクについて注意を喚起した。その警告では、アルコールは米国で毎年約10万人のがん患者と2万人のがん死の原因となっていて、これは飲酒による交通事故死者(年1万3,500人)より多く、かつ飲酒を断つことは、がん予防のための確立された手段だとされている。

 それにもかかわらず人々の認識はまだ低く、米国がん研究協会によると、飲酒ががんを引き起こす可能性があることを知っている米国民は、2019年時点で45%にすぎなかった。

 専門家は、節酒のために以下のような「SMART法」という方法を提案している。

Specific (具体的) 例えば、まず週に3日は飲酒量を減らし、その後、飲酒日と飲酒量を減らす。
Measurable (測定可能) 「なるべく減らす」ではなく「何杯飲んだか」を記録し、「1日1杯まで」などと数値目標を立てる。
Achievable (達成可能) いきなり禁酒を目指すより、まずは飲酒につながる社交を減らすことなどから始める。
Relevant (関連性) 検査値の改善や生活の質(QOL)の変化と関連付けて目標を立て、節酒の効果を実感する。
Time-bound (期限) 「そのうちに」や「近々に」ではなく、「いつまでに」と明確な期限を設定する。

[HealthDay News 2025年2月13日]

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