心不全・糖尿病・骨粗鬆症の重症化予防の実証を開始 医師会が協力しDXを活用 大阪
医療や介護の現場での観察・記録・報告などの事務作業をデジタル化・共有
阪急阪神ホールディングスと日立製作所は、要介護高齢者を対象に、DXを活用して、在宅介護の質と医療・介護職の業務効率の向上を支援する取組みを行っている。
このほどヘルスケア分野での新たなサービスを協創していくため、大阪市都島区医師会の協力のもと、医療・介護職の関係者間で、情報連携アプリを用いて、心不全や糖尿病、骨粗鬆症の重症化と再発予防を目的とした実証を開始した。
これにより疾病の重症化や再発を減らし、患者・家族のQOLの向上、医療・介護費の適正化につながるかどうか、さらには医療や介護の現場での観察・記録・報告などの事務作業をデジタル化することで、作業負担を軽減できるかどうかを検証する。
両社は2019年に、医療・介護の情報をクラウドで共有する地域包括ケア支援サービス「阪急阪神みなとわ」を共同で立ち上げている。これは、要介護高齢者の情報を医療機関や介護事業所などの関係者間で共有・活用することで、在宅介護の質と医療・介護職の業務効率の向上をはかるもの。
このサービスを使うと、たとえば診療所で患者の情報をまとめてファイル化し、このサービスに集積・保管、それを病院側に閲覧してもらい患者を紹介することも可能。紹介状には最近の出来事に絞って記載することもでき、紹介状作成の手間が大幅に削減できる。
また、在宅療養をしている患者を訪問看護した看護師が、このサービスにより連携し、患者データを病院とも共有し、患者の容体に変化があったときや、病院に搬送されたときにも迅速に対応できるようになる。
疾患ケアの適正化を検討
DXを活用し医療・介護関係者や家族がタイムリーに患者の状況を把握
患者が日々のバイタル情報
や問診結果を入力
今回の実証では、「阪急阪神みなとわ」に、「PHRアプリ」や「地域連携手帳」を紐づけることで、医療・介護関係者や家族がタイムリーに患者の状況を把握し、治療やケアの最適化を検討できるようにすることを目指す。
PHRアプリでは、健康・医療・介護に関する患者の情報を総合的に取集。阪急阪神HDではPHRアプリ「いきいき羅針盤」を運営しており、すでに地域の医療機関、介護、患者・家族に利用されている実績がある。
具体的には、都島区医師会の協力のもと同区内の医療機関と介護事業所が参画し、患者に日々のバイタル情報や問診結果を「PHRアプリ」や「地域連携手帳」に入力してもらい、そのデータを「阪急阪神みなとわ」を通じて、医療機関や介護事業所に迅速かつ安全・確実に共有するというもの。
実証結果をもとに、両社は、治体と連携した医療施策でのEBPMの推進支援への適用検討を行う。EBPMは、目的を明確化し、目的遂行のために効果が上がる手段は何かを明確にし、これに即してデータなどのエビデンスを求め、基本的な枠組みを明確にする取り組みとしている。
さらに、社会参加・運動・服薬・睡眠の指導など、患者に対する適切なサービスとその効果を定量的に検証していく実証も進める。
これらにより、将来的には医療費などの適正化を成果報酬とした「成果連動型民間委託契約方式(Pay for Success)サービス事業」への展開を目指すとしている。DXを通じて自治体・健康保険組合などの医療、介護予防事業に貢献し、地域の健康寿命の延伸に貢献したいとしている。
この実証事業について、都島区医師会の泉岡利雄会長は次のようにコメントしている。
阪急阪神みなとわ
自治体・医療機関・大学・企業との取組 (阪急阪神ホールディングス)
AIを活用した保健事業支援サービス:保健事業をトータルサポート (日立製作所)