糖尿病患者の「五十肩」リスクは3.69倍 診察時には肩の痛みを確認する必要も?
五十肩の病因の詳細は不明だが、甲状腺機能障害や心血管代謝疾患などとの関連のあることが報告されており、また糖尿病患者の五十肩の有病率は13.4%とするメタ解析の結果がある。ただし、糖尿病が五十肩のリスク因子なのか否かという点は、十分に明らかになっているとは言えない。これを背景としてDyer氏らは、糖尿病の発症と五十肩の発症の時間的関係を検討するという目的で、過去の長期観察研究を対象とするシステマティックレビューとメタ解析を行った。
MEDLINE、Embaseなどの文献データベースを用いて2019年1月に検索を実施し、2021年6月に追加された報告の有無を確認。その結果、6件の症例対照研究と2件のコホート研究が抽出された。このうち米国と台湾からの報告が各2件で、そのほかは、中国、韓国、オーストラリア、イスラエルからの報告が各1件だった。糖尿病の病型について報告していた研究は1件のみであり、その研究では糖尿病患者群の5.8%が1型糖尿病と記されていた。7件の報告はバイアスリスクが高いと判定され、残りの1件は中程度のバイアスリスクだった。
症例対照研究6件の研究参加者数は合計5,388人であり、糖尿病患者と非糖尿病者で五十肩のリスクに有意差なしと報告していたものは1件で、ほかの5件は糖尿病患者の方がハイリスクの可能性があると結論付けていた。メタ解析の結果、糖尿病患者での五十肩発症は非糖尿病者の3.69倍であることが分かった〔オッズ比3.69(95%信頼区間2.99~4.56)〕。
2件のコホート研究は、いずれも台湾からの報告であり、ともに糖尿病が五十肩の発症と関連していることを示していた。ハザード比は1.32(同1.22~1.42)と1.67(同1.46~1.91)だった。
これらの結果にもとづき著者らは、「糖尿病患者は五十肩を発症する可能性が高いと言え、臨床医は定期的な診察の際に、患者が肩の痛みを感じていないかを確認したほうが良いのではないか。そのような質問によって五十肩を早期に診断し、疼痛緩和と関節機能の維持のための介入の機会とすることが可能となる」と述べている。なお、本研究の限界点として、交絡因子が十分に評価されていない研究が多いことを指摘し、「糖尿病と五十肩の関連の強さを確認し、その関連のメカニズムを理解するために、より質の高い研究が求められる」と付け加えている。
[HealthDay News 2023年1月30日]
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