「FreeStyleリブレ」の保険適用がインスリン療法を行っているすべての糖尿病患者に拡大 糖尿病のより良い管理に期待

2022.03.14
 厚生労働省は、2022年度診療報酬改定について公表した。アボットジャパン合同会社の持続グルコース測定器「FreeStyleリブレ」の保険適用区分「C150-7」の対象が、インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っている入院中の患者以外の患者に拡大される。

 FreeStyleリブレは、インスリン療法を行っているすべての糖尿病患者が保険適用の範囲で使用できる、日本ではじめての持続血糖測定器(CGM)となる。新しい保険適用区分は、2022年4月1日より適用される。

インスリン療法を行っているすべての患者が保険適用で使用できる日本ではじめてのCGMに

 「FreeStyleリブレ」は、皮下に入れたセンサーで間質液中のグルコース濃度を連続的に測定し、リーダーでスキャンすることで、連続測定したグルコース濃度の変動パターンを表示するグルコースモニタリングシステム。

 得られたグルコース濃度の測定値から、自己血糖値測定による血糖値トレンドを推定し、糖尿病の血糖コントロールをサポートする。FreeStyleリブレは、50ヵ国以上で400万人近くの人々に使用されており、持続グルコース測定(CGM)で世界をリードしている。

 FreeStyleリブレのユーザーは、「FreeStyleリブレLink」アプリを使用することで、スマートフォンを使って迅速かつさりげなくセンサーをスキャンすることが可能で、また糖尿病患者は自身の血糖データを「リブレView」を介して医師と共有することができる。

 2022年度診療報酬改定により、FreeStyleリブレは、必要に応じてSMBGを併用することはあるものの、日々の指先穿刺によるSMBGを必要とせずに、すべてのインスリン患者が使用できるはじめてのCGMとなる。

 インスリン療法を行っているすべての糖尿病患者が、日常的に指先穿刺せずに、保険適用の範囲で、FreeStyleリブレによる糖尿病の日常の自己管理が可能になるのは画期的だ。

 インスリン療法を行っている糖尿病患者は、FreeStyleリブレを主に使用する場合の血糖自己測定器加算の保険適用区分「C150-7」の対象となる。

 FreeStyleリブレを主に使用する場合の血糖自己測定器加算の保険適用区分では、これまで「強化インスリン療法を行っている患者又は強化インスリン療法を行った後に混合型インスリン製剤を1日2回以上使用しているもの」が対象になっていたが。今回の保険の適用範囲拡大により、インスリン療法を行っているすべての糖尿病患者が保険適用の対象となる。

 GLP-1受容体作動薬とインスリン製剤の配合注射薬についても「C150-7」の対象となる(GLP-1受容体作動薬単剤では「C150-1~4」が対象)。

FreeStyleリブレ
C150 血糖自己測定器加算
1 月20回以上測定する場合 350点
2 月30回以上測定する場合 465点
3 月40回以上測定する場合 580点
4 月60回以上測定する場合 830点
5 月90回以上測定する場合 1,170点
6 月120回以上測定する場合 1,490点
7 間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの  1,250点
注3 7については、インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っている入院中の患者以外の患者に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行うため、間歇スキャン式持続血糖測定器を使用した場合に、3月に3回に限り、第1款の所定点数に加算する。
出典:令和4年度診療報酬改定について (厚生労働省)

 今回の保険適用の拡大は、インスリン治療を主に1日1回の注射回数で行っている糖尿病患者で、FreeStyleリブレの臨床的有用性が示された試験の結果にもとづいている。※

 神戸大学大学院 医学研究科 糖尿病・内分泌内科学部門 教授の小川 渉先生は次のように述べている。
 「今回、保険の適用範囲が拡大されたことにより、私たち医療従事者は、これまで強化インスリン療法を行っている患者さんが主に使用していた、持続グルコース測定から得られる血糖変動の情報と知見をもとに、インスリン療法を行っているすべての患者さんを治療することが可能となります。また、患者さんは、血糖変動を継続的にモニタリングすることで、自分の状態をより深く理解し、糖尿病の管理につなげることができるようになります。今後、糖尿病のより良い管理ならびに糖尿病合併症のリスク軽減につながることを期待しています」。

 「糖尿病患者さんは、血糖がどのように推移しているのか、急な低血糖を起こさないかなど、多くの悩みを抱えています。FreeStyleリブレは、血糖の状態を詳細に示し、指先穿刺による血糖の自己測定なしに、これらの疑問を解決することで明確な行動変容を促し、より良い生活に寄与することができます」と、アボットジャパンでは述べている。

※FreeStyleリブレのC150-7保険改定について評価されたエビデンス

Use of Flash Continuous Glucose Monitoring Is Associated With A1C Reduction in People With Type 2 Diabetes Treated With Basal Insulin or Noninsulin Therapy
Diabetes Spectr. 2021 May;34(2):184-189. doi: 10.2337/ds20-0069.
Flash glucose monitoring in type 2 diabetes managed with basal insulin in the USA: a retrospective real-world chart review study and meta-analysis
BMJ Open Diabetes Res Care. 2022 Jan;10(1):e002590. doi: 10.1136/bmjdrc-2021-002590.
The impact of flash glucose monitoring on glycated hemoglobin in type 2 diabetes managed with basal insulin in Canada: A retrospective real-world chart review study
Diab Vasc Dis Res. Jul-Aug 2021;18(4):14791641211021374. doi: 10.1177/14791641211021374.
Flash CGM Associated With Event Reduction in Nonintensive Diabetes Therapy
Am J Manag Care. 2021 Nov 1;27(11):e372-e377. doi: 10.37765/ajmc.2021.88780.

FreeStyleリブレ 医療関係者向けサイト (アボットジャパン)
FreeStyleリブレ 患者さん向けサイト (アボットジャパン)
血糖トレンドの情報ファイル (糖尿病ネットワーク)

この記事は、アボットジャパン合同会社が公開したプレスリリースをもとに制作したものです。

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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