中年成人の肥満解消にオンラインの生活指導が有用 専門家によるサポートに加えて患者同士の交流も効果的
オンラインの生活指導や社会的サポートは有用
スマホアプリなどを活用したオンラインの生活指導や社会的サポートが、肥満や過体重の35~55歳の中年成人の減量やメタボ解消に有用であることが、米国のミズーリ大学の研究で明らかになった。
肥満は、2型糖尿病・高血圧・心臓病・脳卒中・肝臓病・がん・睡眠時無呼吸症候群など、深刻な健康上の障害を引き起こす。米国では肥満は、予防可能な死亡原因として、喫煙に次ぐ第2位にあげられている。米国では、20歳以上の成人の42.5%が肥満だという。
ウォーキングなどの運動の習慣化や、食事スタイルの改善、体重管理など、健康増進のために目標を立てる人は多いが、その多くは実行できていない。
「肥満のある人は、肥満に関連した身体的な不調だけでなく、うつ病のリスクが高く、自尊心の低下や社会的孤立などを経験することも多く、メンタルヘルス不調のリスクが高いことが知られている」と、同大学の健康科学部のマンスー ユ教授は言う。
「しかし、オンラインのプログラムを利用し、専門家によるアドバイスやサポートを受け、自助グループで仲間をつくり交流すれば、より健康的な生活をおくれるようになる可能性がある」としている。
オンライン指導を成功させるための3つの要素
研究グループは今回、減量のためのオンラインによる生活指導を実施した研究を解析した。過体重または肥満の中年成人を対象に、2000年~2019年の20年間に実施され、6ヵ月以上の介入を行い70%以上が継続した、ランダム化比較試験(RCT)を含む、29件の研究を解析した。
その結果、オンラインの生活指導で成功しやすいのは、
- 生活改善のための情報を提供し、食事や運動などの自己管理のためのツールを提供する
- 参加者がオンラインで自分と同じように減量に取り組んでいる仲間をみつけ、情報を共有できるグループチャットの機能がある
- 医療の専門家が参加者の疑問や質問に答えることができる
という、3つの要素を備えたものであることが判明した。
さらに、地方に住む参加者のために、アクセスしやすく、柔軟性や利便性が高く、時間とコストが少なくて済むプログラムが効果的であることも示された。
生活改善プログラムを成功させるための5つヒント
減量や健康増進のための生活改善プログラムを成功させるために、ユ教授は次の5つのことがヒントになるとしている。
- 食事や運動などの生活スタイルの改善に取り組んでいることを、家族・友人・恋人・同僚に話し共有する。
- ウォーキングなど、取り組みやすい運動や身体活動をみつけて、日課に組み込む。
- オンラインで、生活改善の取り組みの進捗について知らせ、アドバイスや励ましの言葉をもらう。
- 自分と同じように健康増進や減量に取り組んでいる仲間をみつけ、たとえば毎日どれだけ歩いたかといった情報を共有し、励ましあう。
- 食事や運動などについて、分からないことや上手くいかないことがあれば、専門家に相談しアドバイスをもらう。
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