【新型コロナ】国産mRNAワクチンのブースター接種試験と第2相臨床試験 忍容性・安全性・中和抗体価の上昇を確認
ブースター接種試験と第2相臨床試験で中和抗体価の上昇を確認 実薬対照非劣性試験も開始
「DS-5670」は、第一三共が見出した新規核酸送達技術を用いたCOVID-19に対するmRNAワクチンで、東京大学医科学研究所とともに開発した。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合領域(RBD)を標的にしており、動物モデルでは、初回投与完了時にオミクロン株に対する中和活性を一定量誘導し、この中和活性は、追加投与により増強すること(ブースター効果)が確認されているという。
同社は、開発中の新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチン「DS-5670」について、追加投与のブースター効果を確認する第1/2/3相臨床試験(ブースター接種試験)、およびワクチン未接種者を対象とした第2相臨床試験での国内の開発状況を公表した。
ブースター接種試験は、国内ですでに承認されているmRNAワクチンを2回接種済みで、接種から6ヵ月以上経過した健康成人および高齢者を対象に、「DS-5670」の追加接種(3回目接種)によるブースター効果を検証する国内第1/2/3相臨床試験。2022年1月に健康成人および高齢者約500人を対象とした用量確認試験として開始された。
同試験で、既承認mRNAワクチンもしくは「DS-5670」の3用量(10μg、30μg、60μg)のいずれかを投与した結果、同剤接種4週間後の中和活性で、既承認mRNAワクチンと同程度以上の有効性を示すデータが得られた。
また、接種後7日間の安全性を評価した結果、注射部位や全身性の副反応(発熱・倦怠感・頭痛・発疹・筋肉痛)で重篤な事例は認められず、同剤のいずれの用量でも、忍容性、安全性と中和抗体価の上昇を確認した。
この結果を受け同社は、健康成人および高齢者約4,500人でのブースター効果の検証と安全性を評価するため、既承認mRNAワクチンを用いた実薬対照非劣性試験での初回投与を開始した。
また、「DS-5670」のワクチン未接種者を対象とした第2相臨床試験は、ワクチン未接種健康成人80人を対象とした、同剤の免疫原性、安全性および推奨用量を検討する第2相臨床試験で、2021年11月に開始。
同試験の結果、安全性に大きな問題は認められず、同剤の2回接種14日目の中和抗体価で、十分な免疫が誘導される結果が得られたとしている。同社は2022年度上期中の第3相臨床試験開始を目指し、準備を進めている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発(ワクチン開発推進事業、創薬支援推進事業) (日本医療研究開発機構)
新型コロナワクチン 開発状況について (厚生労働省)