【新型コロナ】感染して死亡した20歳未満の半数は基礎疾患なし ワクチンの小児に対する安全性・有効性を確認

2022.09.27
 新型コロナに感染して死亡した20歳未満の人の半数は基礎疾患をもっていなかったことが明らかになった。これまで基礎疾患がある子供や若年者は重症化リスクが高いとみられていたが、基礎疾患がなくても死亡リスクはあることが示された。

 研究は、国立感染症研究所実地疫学研究センターと、同感染症疫学センターが、日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会の協力を得て行ったもの。

小児の感染者数が増加 死亡例も発生 ワクチン未接種者が多い

 新型コロナの感染拡大にともない、小児の感染者数が増加し、小児の重症例、死亡例が発生している懸念から、厚生労働省と国立感染症研究所は、関係学会と協力して、新型コロナ感染後の20歳未満の死亡例について、急性期以降の死亡例も含め幅広く調査した。

 調査対象となったのは、発症日(あるいは入院日)が2022年1月1日以降の新型コロナ感染後の20歳未満の急性期の死亡例および急性期以後に死亡した症例。症例は、2022年1月から継続的に発生し、疫学週2022年28週(7月11日~7月17日)から増加した。

 症例は、2022年8月31日時点で、計41例で、うち実地調査が実施できた症例は、2022年8月31日時点で32例で、明らかな内因性死亡(外傷を除く疾病による死亡)と考えられたのは29例だった。

 年齢・年代の内訳は、0歳 28%、1~4歳 21%、5~11歳 41%、12~19歳 10%。性別は、男性 55%、女性 45%。基礎疾患は、あり 48%、なし 52%だった。2022年8月31日時点での基礎疾患ありの内訳は、中枢神経疾患 50%、先天性心疾患 14%、染色体異常 14%など(重複あり)。

 新型コロナワクチンについは、接種対象外年齢の者が48%、接種対象年齢の者が52%で、接種対象年齢では、未接種が87%、2回接種が13%だった。

 医療機関到着時の症状/所見は、発熱 79%、悪心嘔吐 52%、意識障害 45%、咳嗽 31%、経口摂取不良 31%、痙攣 28%、呼吸困難 24%の順に多かった。

新型コロナ感染者は男女とも10歳未満が40代、30代と並んで多い

出典:新型コロナウイルス感染症情報(厚生労働省)

小児では基礎疾患のない症例も死亡 ワクチン接種が必要

 29例のうち基礎疾患があったのは14例、基礎疾患がなかったのは15例。

 医療機関到着時の症状/所見は、発熱 80%、意識障害 67%、悪心嘔吐 60%、痙攣 33%、経口摂取不良 33%、咳嗽 27% 、呼吸困難 0%だった。医療機関で疑われた死亡に至る主な経緯は、中枢神経系の異常(急性脳症など) 33%、循環器系の異常(心筋炎、不整脈など) 27%、その他 20%、原因不明 20%で、呼吸器系の異常はなかった。

 発症日は、15例のうち14例について得られ、発症から死亡までの日数は、中央値4.5日(範囲:0~15日)、内訳は0~2日が5例(36%)、3~6日が4例(29%)、7日以上が5例(36%)だった。

 新型コロナワクチンは、接種対象でも多くの小児の死亡例では未接種だった。また、症状は、日本小児科学会による国内小児におけるCOVID-19レジストリ調査と比較して、呼吸器症状以外の症状のうち、悪心嘔吐(52%)、意識障害(45%)、経口摂取不良(31%)、痙攣(28%)の割合が高かった。

 「今回の実地調査で、内因性死亡が明らかとされた小児などの死亡例で、基礎疾患のなかった症例も死亡していることから、新型コロナ感染後は、基礎疾患のある者はもちろん、基礎疾患のない者でも、症状の経過を注意深く観察することが必要であると考えられます」と、研究グループでは述べている。

 「新型コロナウイルス感染症における重症度分類は、主に呼吸器症状などにより分類されていますが、小児では、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良など、呼吸器症状以外の全身症状の出現にも注意を払う必要があると考えられます。発症から死亡までの日数は、1週間未満が73%を占めており、特に発症後1週間の症状の経過観察が重要だと考えられます」としている。

新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例の特性
2022年8月31日時点

n=29、発症日または入院日が2022年1月1日~8月31日、明らかな内因性死亡に限る
出典:国立感染症研究所、2022年

基礎疾患のある小児患者にワクチン接種を推奨 主治医と相談を
 今回の調査では、接種対象でも多くの小児の死亡例で、新型コロナワクチンは未接種だった。

 日本小児科学会では、「5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を示しており、「5~17歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨します」と明言している。

 これは、第7波による急激な感染者増にともない、5~17歳の重症化例や死亡例が増えたことを受けたもので、とくに小児での新型コロナの重症化予防に寄与することが確認されたことをふまえ、メリット(発症予防や重症化予防など)がデメリット(副反応など)を大きく上回ると判断し、健康な小児へのワクチン接種は「意義がある」という表現から、「推奨します」という表現に変更したもの。

 小児の呼吸不全例は、成人と比較して比較的まれだが、オミクロン株流行以降は、小児に特有の疾患であるクループ症候群、熱性けいれんが増加し、脳症、心筋炎などの重症例も報告されているとしている。

 当初は、オミクロン株の出現により新型コロナワクチンの発症予防効果は減弱することが懸念され、重症化予防に関する情報も少ない状況だった。その後は、世界各国からの大規模な研究成果が蓄積され、オミクロン株を含めて重症化予防効果が40~80%程度認められることが確認された。

 さらに、国内の安全性データが集積され、12~17歳でのワクチンの副反応の発生率は、若年成人と同等であり、5~11歳での副反応はより軽い傾向が確認された。

 同学会では「小児での新型コロナワクチンの安全性・有効性に関する情報が収集されつつあり、小児においてもその効果と安全性が確認されています」「新型コロナは、2歳未満(0~1歳)と基礎疾患のある小児患者で重症化リスクが増大することが報告されています」と述べている。

 とくに、基礎疾患のある小児について、「COVID-19重症化リスクが高い基礎疾患のある小児に対しては、重症化予防効果の観点から、年齢にかかわらず新型コロナワクチン接種を推奨します。基礎疾患を有する小児への新型コロナワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談することが望ましいと考えます」と述べている。

 副反応については、「若年成人と同等であり、5~11歳における副反応はより軽い傾向が確認されています」として、「心筋炎・心膜炎の発生報告が稀にあるため注意は必要ですが、発症のリスク因子(10~20歳代の男性)、接種後の症状、発症時期などが明確となり、厚生労働省からの情報提供が充実しています。なお、接種後数日以内に胸痛、息切れ(呼吸困難)、動悸、むくみなどの心筋炎・心膜炎を疑う症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診し、新型コロナワクチンを受けたことを伝えるよう指導してください」と、同学会では注意を促している。

 「新型コロナワクチンを受けた日には激しい運動などは控えるなど、接種後の注意点を子供たちがよく理解できるようにしてください」としている。

新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第一報) (国立感染症研究所 2022年9月15日)
データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報- (厚生労働省)
公益社団法人 日本小児科学会
5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方 (日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会)
新型コロナウイルス感染症流行時における小児への予防接種について (日本小児科学会)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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