「新型コロナと身体活動・運動」の内外の研究を紹介 運動指導者や健康づくり担当者向けに情報発信 日本運動疫学会

2021.06.22
 日本運動疫学会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と身体活動・運動に関する学術論文や事例を国内外から収集し、ホームページで紹介する取り組みを開始した。主に運動指導者や、行政や企業の健康づくり担当者に活用してもらうことを想定している。

COVID-19と身体活動に関する研究をHPで紹介

​  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、多くの人の身体活動が減少し、それによる健康二次被害が懸念されている。日本運動疫学会(理事長:岡浩一朗)も2020年4月に「公式声明」を発表し、自らの感染や感染の拡大防止に充分に配慮したうえで、身体活動の実践や座りすぎの防止に取り組むことを推奨している。

 一方、運動指導者が効果的な健康支援をしたり、行政や企業の健康づくり担当者が施策を考えるには、エビデンス(科学的根拠)の理解が必要となる。COVID-19と身体活動・運動の関係については、世界中で急速にエビデンスが蓄積されているが、情報が一元化されていない。とくに学術論文は英語で書かれているため、研究者以外はアクセスしにくい状況にある。

 そこで同学会は、昨年度より「COVID-19と身体活動ワーキンググループ」(代表:小熊祐子・慶應義塾大学准教授)を立ち上げ、COVID-19と身体活動に関する情報を収集しリストとして公開を開始した。2021年6月23日時点で、38編の論文や事例を紹介しており、今後も随時アップデートする予定だ。

 紹介しているのは、以下のテーマに関する、国内外の学術論文、レポート、ガイドライン、事例など。

(1) COVID-19の身体活動への影響を検討した研究

 COVID-19によって、多くの集団(子供、勤労者、高齢者、障碍者など)で身体活動が減少し、座位時間が増加していることが報告されている。

(2) 身体活動の変化による健康への影響を検討した研究

 身体活動が減ったことで、心身の健康に悪影響が出ていることが報告されている。とくにメンタルヘルスに対する影響は大きい。

(3) 身体活動のCOVID-19への影響を検討した研究

 身体活動量が多い人は、COVID-19の重症化や死亡リスクが低い可能性が報告されている。

(4) その他(解決策など)

 たとえば、自宅での運動による健康効果が報告されている。また、さまざまな団体から身体活動やスポーツに関するガイドラインが出ている。

学術総会で「COVID-19と身体活動に関するシンポジウム」を開催

 「第23回日本運動疫学会学術総会」(2021年6月26~27日)では、COVID-19に関するシンポジウムを企画している。オンラインと対面のハイブリッドで開催し、学会員以外の参加やメディア取材も可能だ。

 このうち、シンポジウム2「COVID-19による身体活動への影響」は6月26日に開催され東京医科大学の天笠志保氏、筑波大学の山田実氏などが演者を務める。そのほかにも、「厚生労働省における運動・身体活動奨励の取り組み」「運動による整形外科の病気の予防」など、多数の講演やシンポジウムが企画されている。

日本運動疫学会

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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