「新型コロナと身体活動・運動」の内外の研究を紹介 運動指導者や健康づくり担当者向けに情報発信 日本運動疫学会
COVID-19と身体活動に関する研究をHPで紹介
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、多くの人の身体活動が減少し、それによる健康二次被害が懸念されている。日本運動疫学会(理事長:岡浩一朗)も2020年4月に「公式声明」を発表し、自らの感染や感染の拡大防止に充分に配慮したうえで、身体活動の実践や座りすぎの防止に取り組むことを推奨している。
一方、運動指導者が効果的な健康支援をしたり、行政や企業の健康づくり担当者が施策を考えるには、エビデンス(科学的根拠)の理解が必要となる。COVID-19と身体活動・運動の関係については、世界中で急速にエビデンスが蓄積されているが、情報が一元化されていない。とくに学術論文は英語で書かれているため、研究者以外はアクセスしにくい状況にある。
そこで同学会は、昨年度より「COVID-19と身体活動ワーキンググループ」(代表:小熊祐子・慶應義塾大学准教授)を立ち上げ、COVID-19と身体活動に関する情報を収集しリストとして公開を開始した。2021年6月23日時点で、38編の論文や事例を紹介しており、今後も随時アップデートする予定だ。
紹介しているのは、以下のテーマに関する、国内外の学術論文、レポート、ガイドライン、事例など。
COVID-19によって、多くの集団(子供、勤労者、高齢者、障碍者など)で身体活動が減少し、座位時間が増加していることが報告されている。
身体活動が減ったことで、心身の健康に悪影響が出ていることが報告されている。とくにメンタルヘルスに対する影響は大きい。
身体活動量が多い人は、COVID-19の重症化や死亡リスクが低い可能性が報告されている。
たとえば、自宅での運動による健康効果が報告されている。また、さまざまな団体から身体活動やスポーツに関するガイドラインが出ている。
学術総会で「COVID-19と身体活動に関するシンポジウム」を開催
「第23回日本運動疫学会学術総会」(2021年6月26~27日)では、COVID-19に関するシンポジウムを企画している。オンラインと対面のハイブリッドで開催し、学会員以外の参加やメディア取材も可能だ。
このうち、シンポジウム2「COVID-19による身体活動への影響」は6月26日に開催され東京医科大学の天笠志保氏、筑波大学の山田実氏などが演者を務める。そのほかにも、「厚生労働省における運動・身体活動奨励の取り組み」「運動による整形外科の病気の予防」など、多数の講演やシンポジウムが企画されている。