2型糖尿病患者のCGMの使用が血糖管理を改善 非インスリン療法あるいは基礎インスリン療法を行っている患者で効果
CGMを使用した患者では、血糖値の範囲内時間(TIR)は39.7~61.9%になった。これは、範囲内で過ごす時間が1日あたり5.3時間増加したことに相当するという。
「プライマリケアでのCGMの利用は可能であり、CGMの使用が増えれば、専門医へのアクセスが困難な患者の血糖管理を改善でき、医療格差の是正にも貢献できる可能性がある」と、研究者は述べている。
2型糖尿病成人にCGMを導入 血糖管理が改善 TIRが1日に5.3時間増加
プライマリケアでインスリン療法を行ってない、あるいは基礎インスリン療法を受けている2型糖尿病成人のCGM(持続血糖モニター)の実施は効果的という研究を、米国医療グループ協会(AMGA)などが発表した。
CGMは糖尿病管理に有用であることが示されているものの、プライマリケアの現場、とくに強化インスリン療法を行っていない2型糖尿病患者への導入は限定的という現状がある。
一方で、2型糖尿病の有病率は世界的に上昇し続けており、多くの2型糖尿病患者は、糖尿病合併症を予防するために必要と推奨されている血糖目標値を達成できていない。
そこで研究グループは、インスリンを使用していない2型糖尿病患者と、基礎インスリンを使用しているが追加インスリンを使用していない患者に対しCGMを使用し、血糖管理への影響を評価した。研究は、AMGAのStephen Shields氏らによるの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載された。
その結果、182人の2型糖尿病患者に対する3ヵ月のCGMの導入により、HbA1cは有意に低下し[-0.62%、p <0.01]、HbA1cの良好な管理(7.0%未満および8.0%未満)を達成した患者の割合も、CGMを使用した患者で有意に高くなった。
CGMを使用した患者では、血糖値の範囲内時間(TIR)は39.7~61.9%[p <0.0001]になった。これは、範囲内で過ごす時間が1日あたり5.3時間増加したことに相当する。
180mg/dL超の時間(TAR レベル1)は60.1~37.9%[p <0.001]、250mg/dL超の時間(TAR レベル2)は27.6~8.5%[p <0.001]になった。高血糖で過ごす時間が1日あたり5.3時間と4.6時間減少したことに相当する。
平均推定血糖値は212~173mg/dL[p <0.001]、血糖管理指標は8.39~7.46%[p <0.001]となり、いずれも糖尿病の管理の改善が示された。
CGMは、連続して間質液のグルコース濃度を測定し、血糖値の変動を示し、血糖の上下動などをモニターすることができる。低血糖や高血糖に変動しているトレンドを患者に知らせ、夜間や治療誘発性の低血糖などもモニターでき、患者の血糖管理の大きな改善を期待できるとしている。
「プライマリケアでのCGMの使用は、非インスリンまたは基礎インスリンによる治療に関係なく、通常ケアと比較して、2型糖尿病患者の血糖管理を有意に改善した。さらに研究が必要だが、プライマリケアでのCGMの利用は可能であり、CGMの使用が増えれば、内分泌専門医へのアクセスが困難な患者の血糖管理を改善でき、医療格差の是正にも貢献できる可能性がある」と、研究者は述べている。
なお、患者を登録する前に、参加した診療所のスタッフはDexcom G6 CGMシステムおよびパーソナルCGMシステムを診療に導入する方法についてのウェビナーの提供を受けた。AMGAは研究の実施中にDexcom社からの助成を受けている。