糖尿病患者の口腔ケアが良好な血糖管理や血糖変動と関連 歯科との連携の重要性を示唆 糖尿病学会で発表
2型糖尿病患者の歯間清掃習慣や歯数の多さは良好な血糖変動につながる
Time in Rangeが示した医科歯科連携と口腔衛生習慣の重要性 |
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第66回日本糖尿病学会年次学術集会で発表 |
南昌江内科クリニック/南糖尿病臨床研究センターとサンスターは、共同研究により、通院中の2型糖尿病患者を対象に、口腔衛生指標と連続した24時間の血糖変動などの血糖管理指標を調査した。
その結果、歯間清掃習慣や歯数の維持が、HbA1cや空腹時血糖値だけでなく、24時間の血糖変動の質の良さを示すTime in Range(TIR)とも関係することを明らかにした。
これまで糖尿病と歯周病は密接に関係し、2型糖尿病患者に歯周病治療を行うと血糖コントロールが改善されることが示されているが、糖尿病患者の口腔衛生習慣と血糖コントロールとの関連はよく分かっていなかった。
共同研究では先行して、2型糖尿病患者の歯間清掃習慣と性別・年齢調整後のHbA1c、空腹時血糖値の関係性も明らかにしている。
対象者と方法 |
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対象者:15本以上の天然歯を有するクリニックに通院中の2型糖尿病患者104人 デザイン:横断的研究 アンケート調査:歯数、1日の歯みがき回数、デンタルフロスや歯間ブラシなどの使用による歯間清掃頻度、歯科通院頻度 血液・尿検査:HbA1c、空腹時血糖値、インスリン、高感度CRP、IL-6、TNF-α、MCP-1、尿中アルブミン/クレアチニン比など CGMの血糖変動指標:平均、Time in Rangeなど |
研究結果 |
1. パラメータ間の単相関 (Spearman’s ρ ) 歯の本数は年齢と負の相関、歯科通院頻度は年齢と正の、BMI、HbA1c、空腹時血糖値と負の相関が示された。歯みがき回数は、男性、BMI、尿中アルブミン/クレアチニン比、高感度CRP、TNF-α と負の相関を示した。歯間清掃の頻度は、Time in Rangeとは正の、男性、BMI、高感度CRP、IL-6、TNF-α と負の相関を示した。 2. 血糖コントロール、変動指標の口腔衛生条件による群間比較 週3回以上の歯間清掃習慣がある群/ない群に分け、平均血糖を24時間経時的にプロットし比較したところ、大きな差があり、同様の結果は、歯数20本以上を有する群/有さない群の比較でもえられた。 CGM血糖変動指標の群間比較では、週3回以上の歯間清掃習慣がある群では、ない群に比べ、有意に平均グルコース値が低く、Time in Rangeが高値だった。同様に、歯数20本以上を有する群は、有さない群より平均グルコース値が低く、Time in Rangeが高値だった。 出典:サンスター、2023年
3. Time in Rangeと歯間清掃習慣について他要因を考慮に入れた解析(ロジスティック回帰モデル)Time in Rangeの目標値である70%の達成/未達成を目的変数に、性別・年齢・BMIで補正をすると、歯間清掃習慣(週3回以上)が有意な説明変数となった。炎症関連指標を調整因子に加えたモデルでも同様の結果を示し、炎症以外の因子を介する機序があることが示唆された。 |
血糖管理が不良な患者は口腔機能の低下により食物繊維の摂取が困難になっている可能性
2型糖尿病患者における歯数・歯周状態と摂取できる食品・栄養素の関連についての検討 |
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第66回日本糖尿病学会年次学術集会で発表 |
南昌江内科クリニック/南糖尿病臨床研究センターとサンスターは、共同研究により、通院中の2型糖尿病患者を対象に、歯の本数、歯茎の状態と食品、栄養素摂取量の関係を調査した。
その結果、2型糖尿病患者は、歯の本数の減少や歯茎の状態の悪化により、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足しやすいことを明らかにした。
とくにHbA1cが高めの患者や、BMIが25以下の肥満でない患者は、口腔機能の低下により食物繊維が多く含まれる食品の摂取が困難になっている可能性が示唆された。
糖尿病がある人への栄養的サポートの場面では、口腔サポートも重要であり、食習慣とともに歯の本数や歯茎の状態をヒアリングしたうえでアドバイスすることが望まれるとしている。
これまで、2型糖尿病患者は歯周病の発症・進行リスクが高く、歯を失いやすいことから、口腔機能の低下により適切な食事療法の実行が難しい場合があることが懸念されているが、糖尿病患者における口腔状態と、栄養や食品摂取量との関係についてはよく分かっていなかった。
対象者と方法 |
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対象者:15本以上の天然歯を有するクリニックに通院中の2型糖尿病患者104人 デザイン:横断的研究 口腔状態に関する指標:アンケートによる歯の本数、ハグキの状態(大変良い~悪いの4段階)など 食品・栄養素摂取量:簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)による1日あたりの粗摂取量算出値 身体指標: HbA1c、BMIなど |
研究結果 |
1. 歯の本数、ハグキの状態と食品・栄養素摂取量の関係 (Spearman’s ρ ) 歯の本数が少ない群では、緑葉野菜、ニンジン・カボチャの摂取量が少なく、栄養素としては、植物性タンパク質、カロテン類の摂取量が少ないという関係性が示された。また、年齢と歯の本数には負の相関があった。 ハグキの状態が悪いと答えた人ほど、骨ごと食べる魚、ニンジン・カボチャ、酒類の摂取量が少なく、栄養素としては植物性タンパク質、K、Ca、Mgなどの灰分、カロテン類、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸)、ビタミンC、総食物繊維、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の摂取量が少ないという関係性が示された。 2. 歯の本数と食物繊維摂取量の関係について他の因子を考慮した関係性を検討(一般化線形モデル) 糖尿病の食事療法において重視される食物繊維の摂取量について性別や年齢の影響を調整して解析したところ、歯の本数が多いほど総食物繊維、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の摂取量が多いという有意な相関が示された。 さらに、解析対象者を血糖コントロール指標のHbA1c値が7%未満または7%以上で層別化したところ、HbA1c7%未満の群では、歯の本数による総食物繊維量に差はなかったが、7%以上の群では、歯の本数が24本未満であると24本以上に比べて、1日の総食物繊維摂取量が有意に低値だった。 同様に、BMI25未満の群で、歯が24本未満であると24本以上に比べて、総食物繊維量が有意に少ないことが示された。BMI25以上の群では、両群ともに低い値で、群間の差はなかった。 出典:サンスター、2023年
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医科歯科連携の重要性を示唆
医療法人 南昌江内科クリニック
一般社団法人 南糖尿病臨床研究センター
日本糖尿病協会 登録歯科医制度について (公益社団法人 日本糖尿病協会)
2型糖尿病のある人の歯間清掃習慣や歯数が良好な24時間の血糖変動と関連 (サンスター 2023年6月6日)
2型糖尿病のある人の食物繊維、ビタミン、ミネラル不足の裏には歯の喪失やハグキの問題がかくれている可能性 (サンスター 2023年6月6日)
30代以上の血糖コントロール不良は歯の本数に影響 奥歯の損失に大きな差があると判明 (サンスター 2021年10月14日)