GIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬retatrutide、第3相試験で2型糖尿病におけるHbA1cと体重を有意に改善 米イーライリリー

Retatrutideは、週1回投与のGIP、GLP-1、およびグルカゴンの3つの受容体のアゴニスト。2型糖尿病のほか、肥満症、変形性膝関節症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、慢性腰痛、心血管および腎臓のアウトカム、代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)などの適応でも臨床試験が進行している。
TRANSCEND-T2D-1は、食事・運動療法のみで血糖コントロールが不十分な2型糖尿病の成人を対象に、retatrutideの有効性および安全性をプラセボと比較する、40週間の第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。直近90日間において糖尿病薬での治療歴がなく、食事療法および運動療法のみでは血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(平均罹病期間2.5年)537例を対象とした。対象患者はベースライン時のHbA1cが7.0〜9.5%、BMIが23kg/m2以上であり、retatrutide(4mg、9mg、12mg)、またはプラセボのいずれかを投与されるよう1:1:1:1の割合で無作為に割り付けられた。retatrutide群に無作為に割り付けられた参加者は、週1回2mgから治療を開始し、目標用量である4mg(2mgを経て1段階)、9mg(2mg、4mg、6mgを段階的に経由)、または12mg(2mg、4mg、6mg、9mgを段階的に経由)に到達するまで、4週間ごとに段階的に用量を増量した。
主要評価項目である40週時点のHbA1c変化量について、有効性推定値を用いた解析では、retatrutide群(4mg、9mg、12mg)はそれぞれ-1.7%、-2.0%、-1.9%の低下を示し、プラセボ群(-0.8%)に対して優越性を示した。また治療レジメン推定値においても、-1.7%、-1.9%、-1.9%の低下を示した(プラセボ群 -0.8%)。
また、主要な副次評価項目である体重変化率について、有効性推定値を用いた解析では、retatrutide群はそれぞれ-11.5%(-11.1kg)、-15.5%(-15.1kg)、-16.8%(-16.6kg)の減少を示した(プラセボ群 -2.5%〔-2.8kg〕)。なお、retatrutide群では40週時点でも体重減少のプラトー(停滞期)に達しておらず、投与期間を通じて継続的な減少傾向が観察された。
また、retatrutide群ではHbA1c、体重に加えて、non-HDLコレステロール、中性脂肪、収縮期血圧といった主要な心血管リスク因子において、ベースラインからの臨床的に意義のある改善を示した。
安全性および忍容性に関しては、これまでのインクレチン関連療法で認められているものと同様の傾向であった。主な有害事象は悪心、下痢、嘔吐などの消化器症状であり、主に用量漸増期に発生した。発現率は、悪心が16.4~26.5%(プラセボ3.7%)、下痢が18.7~26.3%(プラセボ4.5%)、嘔吐が15.0~17.6%(プラセボ2.2%)であった 。また、retatrutide群の2.3~4.5%で知覚異常が報告されたが、その多くは軽度であり、治療中に消失した。有害事象による投与中止率は、プラセボ群の0.0%に対し、retatrutide群で2.2~5.1%であった。
本試験の詳細な結果は、2026年6月に開催される米国糖尿病学会(ADA)学術集会で発表され、査読付き医学誌に掲載される予定。イーライリリーは、同剤の臨床試験に関する追加の結果について、今後1年以内に得られる見込みであるとしている。



