【新型コロナ】89%がかかりつけ医の重要性を強く認識 オンライン診療は「直接の対面でないのが不安」

2022.03.15
 新型コロナの拡大が契機となり、かかりつけ医に対する意識は変化しており、持病のある人の89.2%がかかりつけ医の必要性を感じていることが、健康保険組合連合会の調査で明らかになった。

 一方、オンライン診療の受診経験のある人は5.6%と少なく、「自宅で受診できるのは便利だ」という声は多いものの、「直接の対面でないため、十分な診察がされているか不安」と感じている人も少なくないことが示された。

 「かかりつけ医を必要」と考えている人では、かかりつけ医によるオンライン診療を「利用したい」という声が過半数に上り、とくに若年者は意欲的であることが示された。

コロナ禍で「かかりつけ医の重要性」を強く認識

 健康保険組合連合会(健保連)は2021年12月に、新型コロナの拡大期で、国民の医療機関へのかかり方や病気や健康への意識の変化などを知るため、全国の20歳代~70歳代の男女4,744人を対象にWebアンケートを実施した。

 その結果、「かかりつけ医がいる」と回答した人は全体の40.4%(2020年調査から5.1ポイント増加)だった。また、「かかりつけの医師がいる」あるいは「かかりつけの医療機関がある」と回答した人は80.7%に上った。

 とくに持病あり群では、かかりつけ医がいると回答したのは45.9%(同5.9ポイント増加)で、年代が高くなるにつれその割合は高くなり、60代で50.2%、70代で55.3%となり半数を超えた。また、持病なし・体調不良あり群でも25.0%がかかりつけ医がいると回答した。

 かかりつけ医がいる人が、いつもかかる医療機関は、「一般診療所(医院・クリニック)」が83.8%ともっとも多かった。

 新型コロナの拡大が契機となり、かかりつけ医に対する意識は変化しており、全体の87.7%がかかりつけ医の必要性を感じている。

 持病あり群では、「かかりつけ医は絶対に必要だと思う」と回答した割合は43.9%、「どちらかといえば必要」は45.3%にそれぞれ上り、計89.2%がかかりつけ医は必要だと考えている。

新型コロナの拡大を契機とした、かかりつけ医に対する意識の変化

出典:健康保険組合連合会、2022年

オンライン診療の受診経験は限定的

 一方、オンライン診療の経験については、「受けたことがある」と答えたのは全体では5.6%で、2020年調査から1.3ポイント増加したものの、受診経験は限定的であることが示された。

 持病があり「病気ごとにきまった医師がいる」と答えた人でも6.5%、「きまった医療機関のみがある」では5.7%にとどまり、オンライン診療で十分な診察を受けられるか不安を感じている人が多いことが示された。

 オンライン診療経験者の割合を年齢階級別にみると、持病あり群では20歳代が26.3%ともっとも多く、次いで30歳代が14.5%となり、若年者では比較的多いものの、年齢階級が高くなるにつれ減少する傾向がみられた。

 オンライン診療を受けた診療科は、持病あり群では「内科」が46.8%ともっとも多く、次いで「アレルギー科」「その他の診療科」がともに12.6%、「皮膚科」が1.6%の順だった。

 また、持病なし・体調不良あり群では「内科」が47.4%ともっとも多く、次いで「産婦人科」が17.9%、「耳鼻咽喉科」「その他の診療科」がともに7.7%の順だった。

オンライン診療は便利なので意欲はあるが、直接の対面でないのは不安

 オンライン診療の受診に対する感想などを聞いたところ、持病あり群では「自宅で受診できるため、便利だと感じる」(66.8%)がもっとも多く、2020年調査から23.0ポイント増加した。次いで「医療機関での待ち時間がなくなり、便利だと感じる」(36.8%)、「自宅で受診できるため、通院のための体力的な負荷が減った」(32.1%)、「医療機関に行く回数が減り、感染症にかかる心配が小さくなる」(27.4%)となった。

 一方で、「医師との直接の対面でないため、十分な診察がされているか不安」(14.2%)、「通信機器の状況が悪く、音声や画像が鮮明でない」(5.3%)、「受診にあたり、通信機器の設定や操作方法が難しい」(4.7%)という声も聞かれた。

 また、「かかりつけ医を必要」と考えている人では、かかりつけ医によるオンライン診療を「利用したい」(55.0%)という回答が多く、「利用したいとは思わない」(45.0%)を上回った。「利用したい」という声は20代で74.1%、30代で69.2%に上り、若年者では意欲的であることが示された。

オンライン診療の受診経験者のオンライン診療に対する感想

出典:健康保険組合連合会、2022年

コロナ禍で生活習慣病予防への関心が高まる

 新型コロナの拡大を契機とした、病気や健康への意識の変化を聞いたところ、持病あり群では「以前に比べ、生活習慣病の予防に関心をもつようになる」(39.3%)がもっとも多く、次いで「とくに意識は変わらない」(36.2%)、「以前に比べ、生活習慣病以外の病気の予防や健康管理に関心をもつようになる」(32.9%)となった。

 持病なし・体調不良あり群でも「生活習慣病の予防に関心をもつようになる」(39.6%)、「生活習慣病以外の病気の予防や健康管理に関心をもつようになる」(33.8%)が多かった。

 このほか、「医療機関を受診するかどうかを慎重に考えるようになると思う」(持病あり 11.4%、持病なし・体調不良あり 25.8%)、「一度により長い日数の薬の処方を受けるなど、受診の機会を減らそうと考えることが増える」(持病あり 14.6%、持病なし・体調不良あり 13.4%)といった回答が目立った。

健康保険組合連合会 (健保連)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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