糖尿病治療薬「フォシーガ」が左室駆出率が低下した心不全の治療薬として米国で承認 SGLT2阻害薬で初
2020.05.13
アストラゼネカは、SGLT2阻害薬「フォシーガ」(一般名:ダパグリフロジン)が、米国で、2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した成人の心不全患者(NYHA心機能分類:IIからIV)の心血管死および心不全入院のリスクの低下に対する承認を取得したと発表した。
同剤は、左室駆出率が低下した心不全患者(左室駆出率が40%以下)の治療を適応としてFDAより承認された、初めてのSGLT2阻害剤となる。
同剤は、左室駆出率が低下した心不全患者(左室駆出率が40%以下)の治療を適応としてFDAより承認された、初めてのSGLT2阻害剤となる。
心血管死および心不全による入院のリスクを有意に低下させることを証明
米国食品医薬品局(FDA)による同承認は、フォシーガがプラセボと比較して、心血管死または心不全入院において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある低下を示した第3相DAPA-HF試験の良好な結果にもとづいている。 この決定はFDAにより今年付与された優先審査指定ならびに2019年に付与された迅速審査指定に続くもの。 同試験ではフォシーガを標準治療への追加治療として用い、左室駆出率が低下した心不全患者において、フォシーガはプラセボと比較して、主要複合評価項目である心血管死または心不全悪化の発現率を26%低下させた(絶対リスク減少率[ARR]=5%[100患者・年あたりのイベント率換算でそれぞれ11.6例対15.6例]; p<0.0001)。試験期間中、フォシーガ投与群では、21患者当たり1件の心血管死または心不全による入院/緊急受診を回避した。 同試験における同剤の安全性プロファイルは、本剤の過去の安全性プロファイルと一貫していた。DAPA-HF試験のデータは「The New England Journal of Medicine」に掲載された。 フォシーガは、2019年に米国FDAにより、心血管疾患の既往歴または複数の心血管リスク因子を有する成人2型糖尿病患者の心不全による入院リスクの低減の承認を取得した。この承認は、DECLARE-TIMI 58試験に基づくもの。 また、同剤は成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロール改善としての適応も取得している。 「DAPA-HF試験の画期的な結果は、心不全治療を大きく変えました。本承認により、左室駆出率が低下した心不全患者のアウトカムを大幅に改善する、全く新しい薬理学的アプローチが、医師に提供されます」と、グラスゴー大学循環器リサーチセンター循環器・メディカルサイエンス研究所のJohn McMurray氏は述べている。 なお、日本でのフォシーガの承認された適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」であり、心血管死および心不全による入院リスク低下に対する適応は取得していない。 フォシーガ錠5mg/フォシーガ錠10mg 添付文書 (医薬品医療機器総合機構)[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]