抗血小板剤「ブリリンタ」が2型糖尿病合併の安定した冠動脈疾患患者の心血管イベントを低減

2019.03.25
 アストラゼネカは、「ブリリンタ錠」(一般名:チカグレロル)とアスピリンの併用療法が、アスピリン単剤治療との比較で、主要心血管イベント(MACE:心血管死、心筋梗塞または脳梗塞からなる複合イベント)を統計学的に有意に低減し、主要評価項目を達成したと発表した。

心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない患者の心血管イベントを低減

 「THEMIS」試験は、心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者を対象とする、アストラゼネカ主導の国際無作為化二重盲検試験。冠動脈疾患(CAD)および2型糖尿病と診断された、心筋梗塞および脳卒中の既往歴がない1万9,000例超の患者を対象として実施され、1,385例の主要評価項目イベントが収集された。

 同試験では、心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者において、ブリリンタとアスピリンの併用療法が、アスピリン単剤治療と比較して、心血管死、心筋梗塞または脳卒中の複合からなる主要心血管イベント(MACE)を低減するかを検証した。冠動脈疾患の定義は、経皮的冠動脈形成術(PCI)、冠動脈バイパス術の既往歴あるいは50%以上の冠動脈狭窄とした。

 その結果、主要心血管イベント(MACE:心血管死、心筋梗塞または脳梗塞からなる複合イベント)を統計学的に有意に低減し、現時点での安全性の結果は既知の安全性プロファイルと一貫していることが示された。

 「THEMIS試験は、これまでに実施された2型糖尿病を合併した患者を対象とする試験の中で最大の無作為化試験で、より強力な抗血小板療法が有効であるかを評価する目的で実施された。この結果によって、アテローム血栓症患者全体における抗血小板剤2剤併用療法が果たす役割について、理解が深まるだろう」と、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院International Cardiovascular Programのエグゼクティブディレクターおよびハーバード大学医学部教授のDeepak Bhatt氏は言う。

 「安定した冠動脈疾患と糖尿病の両方を有する患者は、主要な心イベントのリスクが特に高い大規模集団だ。この患者集団に対する最適な長期抗血小板療法は完全には確立されていない。本年後半にTHEMIS試験の全結果を発表できることを楽しみにしている」と、パリ・ディドロ大学教授およびインペリアル・カレッジの英国国立心臓肺研究所教授のGabriel Steg氏は言う。

 ブリリンタは、血小板活性を阻害することで効果を発揮する、経口P2Y12受容体阻害剤。P2Y12受容体に直接かつ可逆的に結合する。ブリリンタはアスピリンとの併用で、急性冠症候群(ACS)患者、もしくは心筋梗塞(MI)の既往歴を有する患者の、主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞または脳梗塞)のリスクを有意に低減することが示されている。

 同剤はアスピリンとの併用で、急性冠症候群の患者、もしくはアテローム血栓性心血管イベント発症リスクの高い心筋梗塞の既往歴のある患者における、アテローム血栓性イベント再発抑制を適応症としている。

 なお日本では、ブリリンタに心筋梗塞および脳梗塞の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患に対する治療薬としての適応はない。

ブリリンタ錠60mg/ブリリンタ錠90mg(医薬品医療機器総合機構)

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