「フェブキソスタット」が高尿酸血症患者で脳心腎血管関連イベントを抑制 CKDも予防 国立循環器病研究センター
2019.03.14
国立循環器病研究センターは、「フェブキソスタット製剤(キサンチンオキシダーゼ阻害剤、商品名:フェブリク錠)」による脳心腎血管関連イベント発現抑制効果に関する試験を行い、同剤による尿酸値の低下が高尿酸血症を有する高齢患者の予後を改善すること、とくに慢性腎臓病の発症や進展予防が期待できるとの結果を得られたと発表した。
フェブキソスタットによる脳心腎血管関連イベントの抑制をはじめて実証
フェブキソスタットは、日本で発見された高尿酸血症治療薬として臨床試験を経て、2011年に承認された。これまで尿酸値を低下させることで予後を検討した前向き試験はなく、今回の試験は同剤の投与により脳心腎血管関連イベント発現を抑制できるかを検討した世界初のものとなる。 研究は、川崎医科大学の小島淳・主任教授、熊本大学の松井邦彦・医学部附属病院地域医療支援センター長、国立循環器病研究センターの小川久雄・理事長らの多施設共同研究グループによるもの。その成果は、医学誌「European Heart Journal」オンライン版に掲載された。 同試験は、全国141施設が参加した高尿酸血症患者を対象としたフェブキソスタット製剤による脳心腎血管関連イベント発現抑制効果に関する多施設共同ランダム化比較試験(FREED:Febuxostat for cerebral and caRdiovascular events prEvEntion stuDy)。2013年4月から開始し、4年間遂行した。 対象は、脳心腎血管リスクを有する高尿酸血症の65歳以上の高齢患者。登録後ランダム化を行い3年間経過観察した。最終的にはフェブキソスタットを投与した537例(フェブキソスタット群)と、投与しなかった533例(非フェブキソスタット群)の2群間で比較検討を行った。 その結果、ベースラインの尿酸値は2群間で差はなかったが、試験終了時にはそれぞれフェブキソスタット群4.50±1.52 mg/dL、非フェブキソスタット群6.76±1.45 mg/dLとなり、フェブキソスタット群で尿酸値があきらかに低下した。 主要複合評価項目(総死亡、脳血管疾患、非致死性冠動脈疾患、入院を要する心不全、治療を要する動脈硬化性疾患、腎障害、心房細動発症の複合)は、フェブキソスタット群で23.3%であったのに対し、非フェブキソスタット群で28.7%となった。イベント発生率はフェブキソスタット群で低値だった(ハザード比=0.750)。主要複合評価項目の個々の要素では腎障害の発生があきらかに抑制された(16.2% vs 20.5%)。 結論として、フェブキソスタットによる尿酸値の低下は、高尿酸血症を有する高齢患者において、脳心腎血管関連イベントを減少させることができ、とくに慢性腎臓病の発症や進展予防が期待できると考察された。 FREEDでは、フェブキソスタットが痛風などの尿酸塩沈着症を予防するのみならず、脳心腎血管関連イベント抑制を証明し世界初の研究で、今後の内科や循環器診療に寄与することが期待されると、研究グループは述べている。 国立循環器病研究センターFebuxostat for Cerebral and CaRdiorenovascular Events PrEvEntion StuDy(European Heart Journal 2019年3月7日)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]