肥満に対する新たな薬理学的アプローチを発見 骨から分泌されるGluOCが脂肪細胞の細胞死をコントロール
2019.01.10
骨が全身の糖・脂質代謝を活性化する内分泌機能でもあることが注目されている。福岡歯科大学の研究グループは、低カルボキシル化ないしは無カルボキシル化されたオステオカルシン(GluOC)が脂肪細胞を細胞死へと導くシグナル経路の発見した。
このGluOCは膵島β細胞、肝臓、骨格筋、小腸、脳、性腺などさまざまな臓器に作用することが報告されている。研究グループは脂肪細胞におけるGluOCの影響がその濃度により異なることを分子レベルでで解明した。
このGluOCは膵島β細胞、肝臓、骨格筋、小腸、脳、性腺などさまざまな臓器に作用することが報告されている。研究グループは脂肪細胞におけるGluOCの影響がその濃度により異なることを分子レベルでで解明した。
肥満に対する新たな薬理学的アプローチとなる可能性
骨は造血やミネラルの貯蔵庫としても重要な器官だが、最近の研究で全身の糖・脂質代謝を活性化する内分泌機能でもあることが分かってきた。この骨の内分泌機能を担うのが骨に含まれる「オステオカルシン(OC)」だ。 OCはGlaタンパクであり、分子内に3ヵ所のカルボキシル化される領域があるが、ホルモンとしての機能をもつのは低カルボキシル化ないしは無カルボキシル化したOCだ。研究グループはこれを「GluOC」と呼び、これまでGluOCの糖・脂質代謝に対する影響を解析するために脂肪細胞株(3T3-L1細胞)を使用しその効果を検証してきた。 その結果、低い濃度のGluOCは脂肪細胞において糖・脂質代謝活性化ホルモンであるアディポネクチンの発現を亢進させる効果があることを突き止め、その発現に至るまでのシグナル経路について明らかにした。 この研究の過程で、GluOCを高濃度にすると、逆にアディポネクチンの分泌量が見かけ上、低下することを見出した。その時に約3割の脂肪細胞が細胞死することも発見。この高濃度GluOCによる細胞死は細胞膜の破綻、核の膨化および脂肪滴の小型化などを伴い、ネクローシス様の細胞死であっため、GluOC刺激により誘導されるネクローシスであることからネクロトーシスであると考えた。Osteocalcin triggers Fas/FasL-mediated necroptosis in adipocytes via activation of p300(Cell Death & Disease 2018年12月13日)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]