5年後の自分とセールスという仕事 連載「インスリンとの歩き方」

2018.02.26

1型糖尿病患者の遠藤伸司さんによる連載「インスリンとの歩き方」では、第21回「5年後の自分とセールスという仕事」を公開しました。連載「インスリンとの歩き方」へ ▶

連載「インスリンとの歩き方」

 執筆者の遠藤さんは、中学生の頃に1型糖尿病を発症。以来、約30年間の療養生活の中で、留学や進学、就職、そして転職、プライベートまで幅広い経験を積み、なにかと無理をすることもあったようです。

 連載では、そんな遠藤さんの半生を、糖尿病と上手につきあうためのコツやノウハウを中心に、実体験のエピソードを交えて語っていただきます。1型糖尿病患者さんをはじめ、2型糖尿病患者さん、糖尿病医療に携わる方々は、ぜひご一読ください。

インスリンとの歩き方/執筆者プロフィールへ ▶

第21回 5年後の自分とセールスという仕事(本文より)

 本人の希望や好き嫌いなどとは無関係に、会社に勤めていれば人事異動はやってくる。

 入社してから数年が経った僕は、ずっと同じ部署で働いていたけれど、規模の大きな会社だったため、営業マンを管理する、いわゆる「課長」とか「部長」とよばれる僕の上司は2~3年に一度のペースで変わった。このような人たちはもう車は売らずに、管理職に徹した。

 そして人事異動は、僕が月に一度診察に通っていた白い巨塔でも行われた。糖尿病になってから十数年が経過していたから、僕の担当の医師も、会社の上司のように何度か変わった。

 会社では、好きな上司や嫌いな上司、部下を踏んづけて出世する上司や説教ばかりする上司など、多様な上司がいた。そして蝉時雨が始まる7月に、4人目の上司が僕の営業所に赴任した。その新しい上司のKさんに、僕はまず1型糖尿病であることを伝えた。

「私には1型という糖尿病の持病がありまして...」

いつものように2型の糖尿病と勘違いされないように、1型を強調した病気の紹介から僕は始めた。

「1型糖尿病だと何か注意しなければいけないことはあるの?」

「はい、低血糖になったときに、ブドウ糖を飲まないと倒れてしまうことです。それと、食事の度ごとにインスリンを打たなければならないことです」

「そうですか。それじゃあ、今まで大変だったでしょう」

今まで大変だったでしょう...すごく嬉しい言葉だった。いえいえ、そうでも...とは答えたけど、はい、ちょっとだけ大変でした、と僕は心の中で呟いた。

「いつ1型糖尿病になったの?」

Kさんはまだ聞いてくる。

「はい、中学1年生のときです。」

「どうしてわかったの?」

「学校の健康診断で尿に糖が出ていて、すぐに近くの病院に行きました」

「そうですか。僕も人事異動後でわからないことだらけですので、よろしくお願いします。」

続きはこちら...
第21回 5年後の自分とセールスという仕事 ▶

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

脂質異常症の食事療法のエビデンスと指導 高TG血症に対する治療介入を実践 見逃してはいけない家族性高コレステロール血症
SGLT2阻害薬を高齢者でどう使う 週1回インスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防 高齢者糖尿病のオンライン診療 高齢者糖尿病の支援サービス
GLP-1受容体作動薬の種類と使い分け インスリンの種類と使い方 糖尿病の経口薬で最低限注意するポイント 血糖推移をみる際のポイント~薬剤選択にどう生かすか~ 糖尿病関連デジタルデバイスの使い方 1型糖尿病の治療選択肢(インスリンポンプ・CGMなど) 二次性高血圧 低ナトリウム血症 妊娠中の甲状腺疾患 ステロイド薬の使い分け 下垂体機能検査
NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術- 骨粗鬆症治療薬 脂質異常症の治療-コレステロール低下薬 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症 FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症 褐色細胞腫

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料