1型糖尿病患者さん(23歳、男)の性生活 インスリンとの歩き方
1型糖尿病患者の遠藤伸司さんによる連載「インスリンとの歩き方」は、第9回「第9回 1型糖尿病(23歳、男)の性」を公開しました。今回は誰もが経験し、悩みや不安、心配事が多い性についてのお話。筆者が23歳当時に体験した出来事を振り返ります。
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執筆者の遠藤さんは、中学生の頃に1型糖尿病を発症。以来、約30年間の療養生活の中で、留学や進学、就職、そして転職、プライベートまで幅広い経験を積み、なにかと無理をすることもあったようです。
連載では、そんな遠藤さんの半生を、糖尿病と上手につきあうためのコツやノウハウを中心に、実体験のエピソードを交えて語っていただきます。1型糖尿病患者さんをはじめ、2型糖尿病患者さん、糖尿病医療に携わる方々は、ぜひご一読ください。
第9回 1型糖尿病(23歳、男)の性(本文より)
その日、糖尿病の診察のために会社は休みだった。
実家暮らしの僕の四畳半の部屋には、カーテンがなかったので陽の光は、すでに床の赤いカーペットまで届いていた。大量の眩い光のおかげで、僕は部屋にある全ての物を認識することができたが、ベッドに寝ている僕のプライバシーは磨りガラスによって守られていた。まだ仰向けに横たわったままで、僕は天井のしみを見ていた。頭は空っぽで、まるで真空パックに入れられたみたいだった。何も生み出すことはなかった。ただ、今日は会社がないという解放感だけは認識できる。さて。僕はおもむろに、ベッドの下に隠し置いてあった少々過激な雑誌を手に取る......。