DPP-4阻害薬「シタグリプチン」の心血管系への安全性を評価 通常治療に対して非劣性

2015.06.12
 米国糖尿病学会(ADA)は、DPP-4阻害薬「ジャヌビア」(一般名:シタグリプチン)について、心血管系への安全性を評価するプラセボ対照試験「Trial Evaluating Cardiovascular Outcomes with Sitagliptin」(TECOS)の主要な結果を発表した。

シタグリプチン心血管系への安全性を評価した大規模臨床試験「TECOS」

 TECOSは心血管疾患を有する2型糖尿病患者を対象に、通常の治療にシタグリプチンを追加した場合の心血管系に対する長期安全性を、シタグリプチンを追加しない通常の治療と比較して評価するようデザインされたイベント発生評価試験。

 2008~2012年に38ヵ国の1万4,724例の患者を対象に実施され、主要複合評価項目(心血管疾患による死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中または不安定狭心症による入院のいずれかが最初に確認されるまでの期間)を調査した。

 MSDによると、TECOSではシタグリプチンが心血管系の主要複合評価項目のリスクを増加させないことが示された。心血管系の副次複合評価項目(心血管疾患による死亡、非致死性心筋梗塞または非致死性脳卒中のいずれかが最初に確認されるまでの期間)も達成し、シタグリプチンを追加しない通常の治療に対して非劣性であることが示された(HR:0.99、95% CI:0.89~1.11)。

 主要評価項目の発生は、Intention-to-Treat(ITT)解析ではシタグリプチン群の11.4%(n=839)、プラセボ群の11.6%(n=851)に認められ(HR:0.98、95% CI:0.89~1.08)、Per Protocol(PP)解析ではシタグリプチン群、プラセボ群ともに9.6%(n=695)に認められた(HR:0.98、95% CI:0.88~1.09)。

膵炎の発生率でも有意差なし

 急性膵炎の発生率は、シタグリプチン群0.3%(n=23)、プラセボ群0.2%(n=12)で、両群間に統計的有意差は認められなかった(p=0.065)。膵がんについても、発生率はシタグリプチン群0.1%(n=9)、プラセボ群0.2%(n=14)で、両群間に統計的有意差は認められなかった(p=0.322)。

 他の副次評価項目である心不全による最初の入院または心血管系死亡までの期間の解析では、心不全による最初の入院または心血管系死亡がみられた患者はシタグリプチン群で7.3%(n=538)、プラセボ群で7.2%(n=525)だった(HR:1.01、95% CI:0.90~1.14)。心血管系死亡患者の割合は、シタグリプチン群5.2%(n=380)、プラセボ群5.0%(n=366)だった(HR:1.03、95% CI:0.89~1.19)。

Primary Endpoint met for Trial Evaluating Cardiovascular Outcomes with Sitagliptin (TECOS)(米国糖尿病学会 2015年6月8日)
Trial Evaluating Cardiovascular Outcomes With Sitagliptin

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