「ノボラピッド」の吸収速度を高めた新規の超速効型インスリン 第3相試験の速報
2015.04.10
ノボ ノルディスク社は、新規の超速効型インスリン アスパルト製剤(faster-acting insulin aspart)の第3a相試験である「onset1」および「onset2」の速報結果を発表した。faster-acting insulin aspartが、ノボラピッドと比較してHbA1cをさらに低下させる、あるいは投与のフレキシビリティを向上させるポテンシャルがあることが示された。同社は米国および欧州連合(EU)での承認申請が年末頃になると見込んでいる。
新規の超速効型インスリン アスパルト製剤「faster-acting insulin aspart」は、ノボラピッド(インスリン アスパルト)の新しい製剤で、吸収の始まりを早くし、吸収速度を高めるために2つの添加剤が加えられている。食後の血糖上昇を抑制するボーラスインスリンであり、インスリンポンプにも使用される。
「onset」プログラムは、faster-acting insulin aspartの第3相臨床プログラムで、1型および2型糖尿病患者2,000例以上が参加している。ベーサル・ボーラス療法におけるfaster-acting insulin aspartおよびノボラピッド(インスリン アスパルト)の有効性および安全性の比較を行った。
1型糖尿病患者1,290例を対象とした「onset1」
1型糖尿病患者1,290例を対象とした「onset1」では、8週間の導入期間においてベーサルインスリンの最適化が行われた。ベーサルインスリン(レベミル)の最適化を達成した1,143例の1型糖尿病患者は、二重盲検下で、faster-acting insulin aspartまたはノボラピッドの食前投与(投与期間:52週間)、あるいはfaster-acting insulin aspartの食後投与(投与期間:26週間)に無作為に割り付けられた。 ベースラインにおける平均HbA1cは7.6%であり、投与後26週におけるHbA1cの低下量は、faster-actinginsulin aspart(食前投与)で0.32%、ノボラピッド(食前投与)で0.17%、faster-acting insulin aspart(食後投与)で0.13%だった。これにより、本試験の主要目的であるfaster-acting insulin aspart(食前投与)のノボラピッド(食前投与)に対する非劣性が検証された。 HbA1cの低下量は、ノボラピッド(食前投与)と比較して、faster-acting insulin aspart(食前投与)において、統計的に有意に大きく、また、faster-acting insulinaspart(食後投与)のノボラピッド(食前投与)に対する非劣性が検証された。 食事試験の食後1時間血糖値および2時間後血糖値は、ノボラピッドと比較してfaster-acting insulin aspartで統計的に有意に改善した。食後血糖増加量において、最も大きな差が認められたのは食後1時間血糖値であり、その差は18mg/dL(1mmol/L)を超えた。 重大なまたは血糖値確定症候性低血糖の発現件数は、faster-acting insulin aspartおよびノボラピッドで同様だった。Faster-acting insulin aspartの食前投与を行った被験者において、食事開始後1時間以内の低血糖の発現が多いという結果が得られた。2型糖尿病患者881例を対象とした「onset2」
ベーサルインスリンと経口糖尿病薬の併用療法で十分な血糖コントロールが得られなかった2型糖尿病患者881例を対象とした「onset2」では、8週間の導入期間においてベーサルインスリンの最適化が行われた。 導入期間中に事前に規定したHbA1cの目標値(7.0~9.5%)を達成した689例に対し、faster-acting insulinaspart(食前投与)あるいはノボラピッド(食前投与)のいずれかを追加投与した。投与期間は26週間であり、追加する製剤は無作為に決められた。 Faster-acting insulin aspartおよびノボラピッドの両方で、平均HbA1cがベースライン(約7.9%)から投与後26週(約6.6%)にかけて低下した。これにより、主要目的であるHbA1cの非劣性が検証された。 食事試験の食後1時間血糖値は、ノボラピッドと比較してfaster-acting insulin aspartで統計的に有意に改善し、その差は約10.7mg/dL(0.6mmol/L)だった。食後2時間の血糖増加量は、ノボラピッドと比較してfaster-acting insulin aspartで数値上小さかったものの、その違いは統計的に有意ではなかった。 重大なまたは血糖値確定症候性低血糖の発現件数は、faster-acting insulin aspartおよびノボラピッドで同様だった。Faster-acting insulin aspartの食前投与を行った被験者において、食事開始後2時間以内の低血糖の発現が多いという結果が得られた。[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]