糖尿病患者を5つのタイプに分類 糖尿病治療の8つの因子 T-CARE Survey

2014.02.21
 塩野義製薬は2月19日、糖尿病患者を対象にした意識調査「T-CARE Survey」の結果を発表した。調査対象は20~60代の糖尿病患者で、有効回答数は3,437人。調査はインターネットで行われた。

医療スタッフや家族のサポートが糖尿病患者のモチベーションを高める

 調査では、「治療を続けることによって、健康な人とそれほど変わらない生活が送れると思うか」との問いに対し、患者の89%が「そう思う」と回答。「治療を継続しなければならない」と考える割合も89%に上った。ただ、実際に「治療に必要なことはきっちりやっている」と答えた人は51%にとどまり、治療継続の難しさが浮き彫りとなった。

 自覚症状として「手足の痛みや痛みを伴うしびれ」があると回答した患者は30%で、そのうち自分が糖尿病であることについて「深刻である」と感じている患者は41%に上った。「糖尿病性疼痛」と診断された患者では治療効果への自覚が促される傾向があり、「深刻である」と感じる患者は50%に上った。

 また、患者の心配や不安も聞いたところ、「透析になるのが怖い」70%、「網膜症になって失明するのが怖い」69%、「心筋梗塞になるのが怖い」60%となり、合併症への不安が上位を占めた。

 糖尿病について相談する相手は、「医師」(83%)、「看護師」(28%)、「薬剤師」(24%)、「管理栄養士」(13%)で、糖尿病の治療について「治療に前向きに取り組んでいる」と答えた人は、看護師や管理栄養士などと「関わりがある」と答えた人では72%に上り、医療スタッフのサポートが患者のモチベーション向上に大きく影響していることが示された。

 一方で、治療費など経済的な負担や時間的な負担に加え、治療継続においてストレスを感じている人は少なくなく、治療継続への負荷が大きい状況も見受けられた。「治療を続けることにストレスを感じる」という患者は29%に上った

 こうした負担感を反映してか、周囲や家族からの協力が得られている患者では78%が「治療に前向きに取り組んでいる」と答えたのに対して、協力が得られていない患者ではこの回答率が56%にとどまり、周囲や家族の協力が治療継続に影響していることも示唆された。

 この結果について、横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学の寺内康夫教授は「全身性の慢性疾患である糖尿病の管理では、血糖値のみにフォーカスするのではなく、合併症予防・治療を念頭においた糖尿病患者さんのトータルケアが重要となる」とコメントしている。

患者のモチベーション向上に必要な8つの因子

 今回の調査では、医療スタッフに相談する患者ほど、治療のモチベーションが向上する傾向が示された。そこで、モチベーションや治療への態度を目的変数として、どのような因子が治療のモチベーションに影響するのかを検証したところ、次の8つの因子が浮かび上がった。
  (1)「治療評価/治療の精神的負担」
  (2)「治療評価/治療効果の認識・理解」
  (3)「知識/自分の病状の理解」
  (4)「知識/糖尿病の薬や治療方法の知識」
  (5)「医師との関係/理解・支え」
  (6)「医師との関係/注意される・うるさい」
  (7)「家族との関係/精神的なつながり」
  (8)「家族との関係/行動的サポート」
 このうち「治療効果の認識・理解」と「自分の病状の理解」が、治療継続とモチベーション向上にもっとも影響力をもっているという。

 上記の因子および併発疾患の状況から分類したところ、糖尿病患者は5つのタイプに分類されることが判明。もっとも多いのは、「しっかり治療 模範タイプ」(53%)であり、病状や治療目標を理解しており、医師やコメディカル、家族との関係が良好である患者だ。

 次に多かったのは「治療に不満タイプ」(15%)。ある程度の疾患知識を自ら習得しており、心配や不安が大きく、医師の説明に十分納得できず、医師への信頼が低い。しかし、このタイプは治療方法もきちんと納得したいという意欲をもつ患者であり、サポートすることで改善を期待できるという。

 その他の「医師にお任せ」(7%)、「疾患放置」(13%)、「既に重症化」(13%)のタイプで、病状理解が低い点が共通している。

 寺内教授は「医療スタッフや家族による介入が糖尿病治療では重要であることが調査で示された。患者のタイプを見極め、それに応じたアプローチを行うなどの工夫が必要となる」と述べている。

塩野義製薬

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